ハリウッド映画『グランツーリスモ』、監督に「第9地区」ニール・ブロムカンプ

ハリウッド映画『グランツーリスモ』

 ドライビングゲームが大好きな若者が、本物の国際プロレーサーを目指す。そんな夢みたいな実話が映画化される。2023年8月11日米国する『グランツーリスモ』だ。
 監督に『第9地区』や『チャッピー』といった衝撃の作品で世界を唸らせたニール・ブロムカンプを起用。主人公に『ミッドサマー』のアーチー・マデクウィ、さらにオーランド・ブルームやデヴィッド・ハーバが出演する。この夏、話題の大作と言っていいだろう。

 本作のタイトル『グランツーリスモ』は、ドライビングシミュレーターゲーム「グランツーリスモ」から取られている。主人公のヤンがゲーム「グランツーリスモ」が大好きという設定なのだ。「グランツーリスモ」は1997年にプレイステーション用ソフトとしてリリースされ、世界でシリーズ累計9000万本を売り上げた大ヒットタイトルである。
 近年は人気ゲームの実写映画化やアニメーション映画化が相次いでいる。ゲームで多くのファンを持つタイトルの人気を映画につなげたいとの狙いがある。直近でも『スーパーマリオブラザーズ』のCGアニメーションが大ヒットしている。大ヒット作がある一方で、興行が伸び悩むケースも少なくない。

 そうしたなか今回はゲームそれ自体の映画化でなく、ゲーム「グランツーリスモ」が大好きな青年を主人公にするというひねったアイディアで勝負に挑む。ゲームの実写化はゲーム世界の再現に集中するあまりドラマが弱くなる欠点がある。こうしたリスクを避けつつ映画ならではのドラマが深堀ることも出来る。
 しかも実話に基づいたストーリーだというから驚きだ。題材となるのは、2008年に始まった自動車会社の日産、ソニーのプレイステーション、ゲーム開発のポリフォニー・デジタルのプロジェクト「GTアカデミー by 日産×プレイステーション」である。世界中から選抜した「グランツーリスモ」のトッププレイヤーに本物のプロレースドライバーになるチャレンジを与える。様々な要素が重なる他にない映画になる。

 もうひとつ注目したいのは、ゲーム「グランツーリスモ」の発売元がソニー・インタラクティブエンタテインメントであること。ゲームをプレイ機プレイステーションもソニーの商品だ。そして本作はソニー・ピクチャーズ映画が製作・配給する。ソニーグループの映画部門とゲーム部門がクロスする。
 ソニーグループは、映画、ゲーム、音楽、アニメ、AV機器などエンタテイメント分野でいくつもの強力事業を傘下に持つ。しかしかつては事業分野を超え得意分野でコラボレーションする大型プロジェクトは得意ではなかった。今回はソニーのヒットゲームをソニーが映画化する。その企画は事業領域を超えたシナジーを目指す近年のソニーグループの動きに呼応しているはずだ。

『グランツーリスモ』 (原題:『GRAN TURISMO』)
日本公開:9月 (米国公開:8月11日予定)
https://www.gt-movie.jp/

映画『グランツーリスモ』ロゴ

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