アニメ・マンガ会社を統括するIGポートは、2017年8月30日に2017年5月期(平成29年度)の有価証券報告書を開示した。業績は7月14日に発表された決算短信を反映したもので、連結売上高は75億8900万円、営業利益5億2000万円、経常利益5億4100万円、当期純利益2億2800万円となっている。
有価証券報告書では、これには加えてグループ主要各社の個別の業績も明らかになっている。売上高が最も大きいのはプロダクション I.Gで、売上高22億8400万円、経常利益2億2300万円、当期純利益が1億6000万円。
マンガ出版を中心とするマッグガーデンも収益面で存在感が大きい。売上高は17億1700万円、経常利益3億3600万円、当期純利益2億1100万円。同社作品の相次ぐ映像化が、出版事業に反映しているとみられる。
一方、プロダクション I.Gを除くアニメーション制作3社は、いずれも最終赤字となった。ジーベックは売上高19億1300万円、経常損失2300万円、当期純損失4300万円。ウィットスタジオは売上高9億3300万円、経常損失1300万円、当期純損失5700万円。そしてシグナル・エムディは売上高12億3600万円で経常利益は200万円だったが、当期純損失として700万円を計上した。
当期純損失が経常損失より拡大しているのは、固定資産の一部の帳簿価額を減額したためである。また、設立間もないシグナル・エムディの売上高が12億円を超える規模となったのは、期中に『ひるね姫 ~知らないワタシの物語』や『Cyborg 009: Call of Justice』といった大型作品があったためと見られる。
制作会社単体でみると、ジーベック、ウィットスタジオ、シグナル・エムディの3社は損益ギリギリ、もしくは赤字となる。しかし、各社がアニメーション制作を引き受ける一方で、同じ作品にプロダクション I.Gが製作投資をしているケースも多い。そうした作品はIGポートグループ全体でみると収益バランスがとれていることも多そうだ。
また有価証券報告書では、映像制作の制作受注状況も明らかにされている。前期は制作で劇場アニメが前年比170.5%増、テレビ・ビデオアニメが29.5%増、一方でゲームその他が19.8%減となっている。グループが、より制作予算の高い劇場作品を重視していることが窺われる。
こうした傾向は今後も続きそうだ。今後の制作を見通す受注状況では、劇場アニメが253.9%増、テレビ・ビデオが108.7%増、ゲームその他が36.3%増としている。ここでも劇場アニメの伸びが大きい。また受注全体の高い伸びは、今期の業績見通しの売上高95億9200万円(26.4%増)という大幅成長にも反映されているとみられる。