IGポート子会社 WITは黒字転換、プロダクションI.Gとジーベックは最終赤字

ファイナンス決算

 アニメ製作会社大手のIGポートの主要4子会社の2018年5月期の売上高と損益が明らかになっている。IGポートは連結決算では売上高84億2600万円(11%増)、経常利益3億8600万円(28.6%減)、当期純利益2億8600万円(35.6%減)の増収減益となったが、主要子会社の決算はまちまちだ。
 IGポートはアニメ企画・制作と出版からなる持株会社で、アニメ事業はプロダクションI.G、ジーベック、ウィットスタジオ、シグナル・エムディの4社、出版事業はマッグガーデンとリンガ・フランカの2社が中心である。今回決算が明らかになったのは、プロダクションI.G、ジーベック、ウィットスタジオ、マッグガーデンの4社。17年5月期に売上高12億3600万円、当期純損失750万円だったシグナル・エムディの決算は今回開示されなかった。

 好調だったのは出版事業のマッグガーデンである。売上高19億2100万円は前年比で11.9%増、経常利益は3億9100万円(16.3%増)、当期純利益も2億4500万円(15.7%増)となっている。自社マンガタイトルのアニメ化で単行本販売が伸びた影響が大きいとみられる。
 また『魔法使いの嫁』、『恋は雨上がりのように』などのアニメーション制作をしたウィットスタジオは売上高を60%伸ばし、14億9300万円とした。また前年は経常損失1400万円、当期純損失5800万円だったが、黒字転換を果たした。経常利益は500万円、当期純利益は300万円である。

 ジーベックは引き続き厳しかった。『フューチャーカード バディファイトX』や『クロックワーク・プラネット』などの制作を手がけて売上高は前年並みの19億3300万円。しかし利益面では赤字が拡大している。経常損失は2300万円から1億6100万円に、当期純損失は4300万円から1億2600万円に広がった。
 グループ内で売上高が最大のプロダクション I.Gも厳しい。売上高は30億9700万円(35.6%増)だが、経常利益は5400万円と前年の2億2300万円から大幅減である。経常利益も2億2300万円から500万円に減少した。さらに当期損益では4600万円の赤字に転落した。期中は『魔法陣グルグル』、『ボールルームへようこそ』といったテレビシリーズ、配信シリーズ『B: The Beginning』といった有力作品があったが、制作コストの上昇を吸収出来なかったとみられる。
 IGポートは2019年5月期の業績見通しを、増収赤字としている。引き続き制作予算の増加を見込んでいることも理由のひとつだ。業績の本格的な回復は2020年5月期になりそうだ。

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