ゲーム大手のスクウェア・エニックス・ホールディングスの2018年3月期が好調な第1四半期の業績と伴にスタートした。このほど発表された四半期決算によれば、連結売上高は570億円(11.3%増)、営業利益は128億7400万円(43.9%増)、経常利益は132億8600万円(106.1%増)、当期純利益は83億6800万円(56.8%増)と増収増益だ。
デジタルエンタテインメント事業の伸びが大きく、出版事業や、ライツ・プロパティ事業も堅調だった。ただし前期の業績が下期偏重であったこともあり、現時点では通期では減益見通しと慎重だ。
まだ第1四半期とスタート段階ではあるが、今回の決算からはスクウェア・エニックスHDの事業構造の変化も垣間見える。スクウェア・エニックスでは、これまで開発費の大きな大型タイトルを発売し、その直後に売上高がいっきに拡大することが多かった。これが大きな利益となる一方で、収益の発生する時期が大きく片寄り、タイトルがヒットになるかどうか、発売延期などに業績が左右されがちであった。
今期は主力としてきた家庭用ゲーム機向けの新作タイトルは、前年同期比で減少をしている。一方で過去タイトルのリピート販売がダウンロードを中心に好調だ。開発コストの償却が終わっている旧作の好調が、利益を押し上げていることが分かる。
同様にスマートフォン向け、PC向けブラウザーゲームの既存タイトルの好調も貢献している。こちらも安定益的収益に貢献している。多人数参加型オンラインロールプレイングゲームの人気タイトルの拡張版ディスク販売が大きく、会員数も伸びている。第1四半期の好調は一時的なものというよりも、今後の安定成長を感じさせる。
デジタルエンタテインメント事業の売上高は441億6800万円(17.7%増)、営業利益は137億2400万円(44.9%増)である。
出版事業の売上高は、22億9800万円(2.0%増)、営業利益は5億6300万円(6.2%増)の小幅増収増益である。マンガ単行本の売上が伸びた。
今期はアニメ化では『王室教師ハイネ』、『賭けグルイ』、『魔法陣グルグル2』といった作品が期待される。さらに下期には大型実写映画『鋼の錬金術師』が全国する。旧作ではあるが、こちらも出版との連動が期待できる。
ライツ・プロパティ事業は、売上高21億5900万円(52.3%増)、営業利益は5億8400万円(4.2%増)。キャラクターグッズ、音楽関連が好調だった。
アミューズメント事業は売上高89億8800万円(13.2%減)、営業利益は6億5900万円(20.7%減)。新規タイトルのなかったアミューズメント機器販売の落ち込みが響いた。