生頼範義の大規模な回顧展が、2018年1月6日から2月4日まで東京・上野の森美術館で開催される。2014年の宮崎市のみやざきアートセンターで初の大型展覧会が実施されてから3年あまり、いよいよ東京での開催となる。
開催までまだ4ヵ月あるが、8月10日には都内にて展覧会を盛り上げるべく、キックオフイベントが行われた。生頼範義の息子でもある画家のオーライタロー氏、映画監督の樋口真嗣氏によるトークで生頼範義の作品を振り返った。
生頼範義は、1960年代に広告や雑誌のイラストなどからキャリアをスタート。その後、映画のポスターや書籍の表紙などで活躍した。その名前は知らずとも「ゴジラ」シリーズや「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」などのポスターで目にした人も多いはずだ。作品を見れば、「これか!」と思う人も多いに違いない。2015年に逝去するまで制作した作品は3000点から4000点にもなるという。
樋口監督が生頼範義作品を初めて知ったのは、映画のポスターだという。『メテオ』や『復活の日』などを取り上げて熱いトークを繰り広げた。監督によれば、生頼範義のポスターの特徴はポスターに描かれたカットが実際の映画にないことが多く、逆にポスターだけでも満足出来るのだとも。
トークと伴に次々に登場する作品の幅広さにあらためて驚かされた。SF作家・平井和正、小松左京の作品の挿絵、「SFアドベンチャー」を初めとする数々の表紙はもとより、ポプラ社の「少年版江戸川乱歩選集」イラスト、戦史・戦記もの、ゲームソフトのパッケージなど、とても挙げきれない。何より驚いたのは、家庭用の医学書の大ベストセラーと知られる『家庭の医学』の挿絵をほとんど描いたというエピソードだ。
そんな見慣れたイラストであるが、作品の原画を観る機会はこれまでほとんどなかった。トークでも生の作品の迫力が語られたが、2018年1月になれば上野の森美術館でそれを体験出来るだろう。
生頼範義の作品のうち2600点と、かなりの部分は現在まとまって残されている。今後は作品を系統だってまとめ、散逸することなく管理していくことも必要になる。
2014年に宮崎で始まった展覧会、そして今回の上野の展覧会もそうした活動の一環でもある。より多くの人に生頼範義の名前と作品を知ってもらおうというものだ。
生賴範義展
http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=227
上野の森美術館
2018年1月6日 (土) 〜 2018年2月4日 (日)
*会期中無休