「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」牽引で東映アニメ第1Q好調 業績予想を上方修正

ファイナンス決算

■ 海外映像、国内版権、海外版権が大きな伸び

 アニメ製作大手の東映アニメーションの業績が引き続き好調だ。2017年7月28日に2018年3月期第1四半期決算を発表したが、前年同期を大幅に上回る増収増益となった。
 連結売上高は前年同期比30.5%増の119億4800万円と、四半期だけですでに120億円に迫る水準に達している。これに伴い利益も拡大し、営業利益は33億1200万円(84.9%増)、経常利益は35億6900万円(88.1%増)、当期純利益は26億600万円(67.5%増)となった。いずれも第1四半期としては過去最高だ。

 映像製作・販売事業、版権事業のいずれもが好調で増収増益だった。映像製作・販売事業は売上高42億3600万円(44.8%増)、営業利益は9億1100万円(82.7%増)である。
 テレビアニメ部門は前年並みの9億3400万円、『美少女戦士セーラームーンCrystal』のBlu-ray、DVDのあったコンテンツ部門は増収で2億6200万円、劇場アニメは7億7000万円で前年の10億4000万円より減った。
 海外映像は前年の12億3400万円から84%増の22億7800万円と大幅に増えた。しかしこれは、前期は第2四半期に計上されていた中国向けの大口取引が第1四半期に計上されたことも大きかった。
国内配信市場も成長を続けている。定額映像配信市場の拡大もあり、その他事業6億8300万円(74%増)を支えた。

 版権事業は売上高64億200万円(54%増)、営業利益29億8600万円(66.3%増)。このうち国内版権が34億4000万円(30%増)、海外版権が29億6100万円(96%増)と共に大きな伸びとなった。
 いずれもスマホアプリゲーム『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』のヒットに牽引されている。『ドッカンバトル』はすでに全世界で2億ダウンロードを突破、北米やフランスなど14ヵ国でiOS向けアプリ1位を獲得するほどの人気だ。北米向けでは家庭用ゲーム『ドラゴンボール ゼノバース2』も好調で『ドラゴンボール』の人気がうまく活用されている。
 商品販売事業は売上高10億6400万円(39.7%減)、営業利益900万円(90.2%減)となった。昨年あった『ONE PIECE FILM GOLD』関連がなくなったことが影響した。

■ 『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』好調で業績見通し引き上げ

 第1四半期の業績を受けて、東映アニメーションは今年5月21日に公表した業績見通しを大幅に上方修正する。
 第2四半期の連結売上高は174億円から224億円で28.7%引き上げる。前年同期の197億7400万円を大きく上回る。営業利益は35億円から52億円、経常利益は36億円から54億円、純利益は24億円から35億円に変更した。
 通期見通しは連結売上高330億円から380億円に、営業利益は67億円から91億円、経常利益は70億円から94億円、当期純利益は45億円から63億円。こちらは全体に引き上げられたが、前期の実績よりは低い。新しい通期予想は前期偏重の数字になっており、今後の業績次第では、下期に成長余地もあるかもしれない。
 
 第2四半期以降の業績は、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』を初めとするアプリゲームの活用、その人気がどの程度持続するかが重要になる。東映アニメーションは、なかでも中国市場を重視する。5月には『航海王激戦』をリリース、夏に『聖闘士星矢 小宇宙幻想伝』、さらに『アラレ大冒険』などの同国で新作アプリが続く。さらに『龙珠Z 覚醒』と『航海王燃焼意思』のクローズβテストも始まる予定だ。
 もうひとつは人気作品のさらなる活用である。東映アニメーションはとりわけ「ドラゴンボール天下一武道祭2017」、ユニバーサルスタジオでのアトラクション、「ONE PIECE LIVE STAGE」の中国初専用劇場の上海オープンなどライブイベントに力を入れる。
 また下期には『映画キラキラ☆プリキュアアラモードパリッと!想い出のミルフィーユ!』、『デジモンアドベンチャーtri. 第5章「共生」』、『劇場版マジンガーZ』(仮題)の劇場映画公開が控えている。総合アニメ企業として、東映アニメーションの躍進が続きそうだ。

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