クランチロール、AT&Tが完全傘下の方針か? 米国メディアが報道

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 日本アニメの海外向け配信最大手クランチロールの経営母体が大きく変る可能性が出て来た。米国のテクノロジー情報サイトのRecodeは、通信会社大手のAT&Tがチャーニンググループ保有するインターネット配信関連事業Otter Mediaの株式を取得する方針であると伝えている。
 Otter Mediaはインターネット動画関連事業の有力会社。クランチロールを運営するイレーションの親会社で、このほか配信向けの動画制作者をサポーチするフルスクリーン、も子会社としている。フルスクリーンは『RUBY』の製作会社Rooster Teethも保有する。

 AT&Tは2014年にOtter Mediaに出資し、現在Otter Mediaはチャーニンググループとの共同事業となっている。AT&Tはこのチャーニンググループの持分を全て買い取り、Otter Mediaの事業に主体的に関わることを目指しているとみられる。
 米国では、先日AT&Tによるメディア大手タイムワーナーの買収が連邦地裁から承認を受けたばかり。もしAT&TがOtter Mediaを傘下に収めれば、クランチロールはワーナーブラザーズやHBOと同じ企業グループに所属することになる。

 クランチロールは、2006年に日本アニメファンによる投稿サイトとしてスタートした。当初は海賊版サイトとして知られていたが、2008年に企業と配信契約を結ぶ正規配信サイトに方向転換し、その後急成長した。
 早い段階で米国の個人投資家(エンジェル)やベンチャーキャピタルの出資を受け、さらにテレビ東京やビットウェイ(現出版デジタル機構)など日本企業も出資した。
 2013年にメディアコングロマリットのチャーニンググループが株式を取得しグループ会社化したのが大きな転換点となった。さらに2014年にAT&Tがこれに加わり、新会社イレーションとして再編された。もし今回の株式取得が実施されれば、経営の主導権はAT&Tに移る。

 またクランチロールの今後の経営方針も不透明になる。クランチロールは、現在、日本の製作委員会の投資、住友商事とのアニメ投資ファンドの運営など、積極的に日本アニメに関わる。こうした事業はチャーニンググループが主導していたとみられる。
 この方針をAT&Tが引き継ぐかが、問題となるだろう。さらに動画配信で勢いを増すNetflixに対抗しようとするワーナーブラザーズがクランチロールと連携する可能性もある。そうなれば日本アニメ企業と広くネットワークを持ってきた方針にも変更があるかもしれない。
AT&Tは本当にOtter Mediaを傘下に収めるのか、そうなった時の影響は? AT&Tとクランチロールの動向は、暫く目が離せなさそうだ。

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