2017年に『夜明け告げるルーのうた』、『夜は短し歩けよ乙女』と相次いで長編映画を発表した湯浅政明監督と制作スタジオのサイエンスSARUへの関心が世界的に高まっている。日本では5月に全国公開されたばかりの『夜明け告げるルーのうた』が、相次いで海外映画祭で上映される。
すでに6月12日からフランスで開幕するアヌシー国際アニメーション映画祭での長編部門コンペティションが発表されているが、新たな情報が明らかになった。6月17日から中国でスタートする上海国際映画祭、そして7月のカナダ・モントリオールのファンタジア国際映画祭でも公式出品される。
上海国際映画祭は、中国で開催される最大の国際映画祭で今年20年目となる。世界で15、アジアでは他に東京国際映画祭、インド国際映画祭しかない国際映画製作者連盟の公認する長編映画祭である。中国の映画産業の急成長もあり、その注目度は近年、急激に増している。
コンペティションには長編14作品、ドキュメンタリー5作品、アニメーション5作品がラインナップされた。日本からは、降旗康男監督の『追憶』も選ばれた。
この中からグランプリにあたる金爵賞(Golden Goblet Awards)、監督賞、脚本賞などが選ばれ、最優秀アニメーション賞も設けられている。各賞は25日に発表される予定だ。
アニメーション映画では、『夜明け告げるルーのうた』のほかノルウェーのラスムス・A.シヴァートセン監督の『IN THE FOREST OF HUCKYBUCKY』、英国のヒュー・ウェルチマン/ドロタ・コビエラ共同監督の『LOVING VINCENT』、ヨーロッパ共同製作レザ・メマリ/トビー・ゲンケル共同監督の『RICHARD THE STORK』、中国からは3DCGの『阿唐奇遇』が選ばれている。
またコンペティション以外のパノラマ部門では、『夜は短し歩けよ乙女』も上映される。期間中、2本の湯浅監督作品が上映されることになる。
一方、ファンタジア国際映画祭は、SFやアニメーション、ファンタジー、アクションなどのジャンル映画に特化した国際映画祭だ。長編アニメーション部門のグランプリを今敏賞と名付けていることでも知られる。
湯浅監督は2005年に『マインド・ゲーム』で、作品賞、監督賞、脚本賞、アニメーション映画賞の4つのアワードを獲得した。湯浅監督に縁の深い映画祭だ。それだけに、今回も大きな期待がかかる。
『夜明け告げるルーのうた』
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