ファンタジア映画祭 長編アニメーション部門に日本2作品受賞「きみと、波にのれたら」「HUMAN LOST」

「きみと、波にのれたら」

 2019年7月12日から8月1日まで、カナダ・モントリオールで第23回ファンタジア国際映画祭(Fantasia International Film Festival) が開催された。SF・ファンタジー・ホラー・アニメーションなどのジャンル映画の分野では世界的に知られた映画祭だ。
 この長編アニメーション部門のアワードを、日本作品が独占した。長編グランプリを湯浅政明監督の『きみと、波にのれたら』が、審査員特別賞を木崎文智監督の『HUMAN LOST 人間失格』が受賞した。
 『きみと、波にのれたら』は、湯浅政明監督の長編映画最新作。海でなくなった恋人を巡るファンタジックなラブロマンスを描いた。爽やかな青春ストーリーで湯浅監督の新境地ともなっている。アニメーション制作は近年の湯浅作品では外せないサイエンスSARUが担当した。
 『HUMAN LOST 人間失格』は、『バジリスク』『アフロサムライ』で海外にて高い評価を受けてきた木崎文智監督が太宰治の名著『人間失格』を大胆にSFアニメに再構築した話題作。アニメーション制作はCGに強みを発揮するポリゴン・ピクチュアズが挑んでいる。レトロフューチャーな世界観も見どころになっている。

 ファンタジア映画祭はジャンル映画、とりわけアジア映画に強みを発揮している。なかでもアニメーション部門は、日本の名監督であった今敏の名前から由来して今敏賞と名付けられている。例年日本からノミネートが多い。
 今年は長編アニメーション部門ノミネート全11作品のうち6作品が日本のアニメだった。受賞2作品のほか『センコロール コネクト』(宇木敦哉監督)、『プロメア』(今石洋之監督)、『あした世界が終わるとしても』(櫻木優平監督)、『バースデー・ワンダーランド』(原恵一監督)である。いずれも評価が高く、日本以外の作品も含めて受賞2作は厳しい競争を制したと言っていいだろう。

 映画祭審査委員会は『きみと、波にのれたら』について、「魔法のようなリアリズムと驚くべきストーリーテーリングな作品」と評する。さら「2Dと3Dの切れ目ないハイブリッドなアニメーションが、主人公たちを絵画的な水の表現と共にいきいきと描いている。それは観る者の感情を駆り立てる」としている。その確かな表現が高く評価されたかたちだ。
 また『HUMAN LOST 人間失格』については、「90年代アニメを思い起させる強固な世界観と骨太な作品」、そして「映画はニヒリティックで、観客に科学の発展が人間性の喪失につながるのでないかといったことを考えさせる」とする。

 このほか短編アニメーション部門グランプリは、韓国のMyungeun Kim監督の『THE FIRST CLASS』が受賞。審査員特別賞はイヌイットの伝説をモチーフにした『The Giant Bear』が選ばれた。Neil Christopher とDaniel Giesの両監督がカナダのe.d. filmsと共に制作した。

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