日本では2017年3月7日に公開、興行収入で40億円を超える大ヒットになった『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』が、早くも中国で全国公開された。5月30日(火)の公開初日には、現地での興行収入が3800万元(約6億1500万円)を超えた。
人口とスクリーン数が多い中国では初日に興行収入を一挙に伸ばすことが多いが、それでもかなり好調な出足だ。今後の観客の伸びにも関心が集まりそうだ。
中国の映画市場では、2016年に公開された『君の名は。』が5億7000万元の大ヒットを飛ばした。また公開された日本映画が10本を超えるなど、これまでになく日本から注目を浴びた。
しかし、2017年は一転、これまでに公開された邦画はフルCGの『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』のみとやや寂しいかたちになっていた。『ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』は、久々の大型作品の登場となる。
『ドラえもん』の劇場アニメシリーズは、これまでもたびたび中国で公開されている。なかでも2015年のCGアニメ『STAND BY ME ドラえもん』が興行収入5億3000万元と、中国で公開された日本映画で歴代2位を記録している。
2Dアニメのシリーズでは、2016年に公開された『ドラえもん 新・のび太の日本誕生』がもっとも大きなヒットになっている。この時の最終興収は1億327万元、公開第1週の興行収入が5448万元だった。今回は初日だけで3800万元超だから、『新・のび太の日本誕生』を上回るペースと言っていい。
好調な出足は、日本公開からわずか2ヵ月半でのスピード上映も理由にありそうだ。これまで日本のアニメの中国公開は上映許諾に時間がかかり、公開が遅れることが多かった。一方で昨年の『君の名は。』は、日本公開から期間を置かない公開がヒットの理由のひとつされていた。『のび太の南極カチコチ大冒険』でも、それを踏襲したと見られる。
まだまだ上映許諾制度の壁は厚いが、それでも日本と中国の双方の取り組みは少しずつ変わっているようだ。