2019年6月21日に中国全国公開をスタートして劇場アニメ『千と千尋の神隠し』が、旧作とは思えない快調なスタートを切った。中国の映画ビジネス情報サイトによれば、6月21日(金)から23日(日)までの初週末3日間の興行収入は約1億9500万元と2億元近くに達した。日本円の換算では30億円を超える。
同じ週末にはディズニー/ピクサーの最新作『トイ・ストーリー4』も封切られたが、同作の3日間の興収は約9300万元に終わった。『千と千尋の神隠し』は2倍以上の数字で、『トイ・ストーリー4』を圧倒して週末興行で常に1位を維持した。
『千と千尋の神隠し』は、スタジオジブリが宮崎駿監督のもと2001年に劇場公開した。興行収入が308億円で国内映画史上最高となった。さらにベルリン国際映画祭の金熊賞、米国アカデミー賞最優秀長編アニメーション賞受賞と世界的な評価を築いている。
しかしこれまで中国では劇場公開、テレビ放送ともされていなかった。今回は日本公開から18年ぶり、初めての中国上陸になる。
中国でも映画興行で旧作を大規模で公開することは珍しく、大きな成績を残した例はほとんどない。しかし今回は新たな中国語吹替えなどをすることや、新作並みの宣伝を展開したことがヒットにつながったようだ。
スタジオジブリ作品では、2018年12月にも『となりのトトロ』が上映された。この時は最終1億7000万元あまりの興行収入が大ヒットとして話題を呼んだ。『千と千尋の神隠し』はその数字を最初の3日間で超えたことになる。
また『千と千尋の神隠し』は、中国で公開された邦画としても大きな記録を築きそうだ。これまでの邦画の興行収入1位は『君の名は。』(5億7000万元)、2位が『STAND BY ME ドラえもん』。『千と千尋の神隠し』は4位につけている。第3位の『映画ドラえもん のび太の宝島』(2億900万元)は一両日中に突破、歴代3位となりそうだ。
旧作映画の異例のヒットは、中国におけるスタジオジブリと宮崎駿ブランドの大きさをあらためて認識させる。また本作は中国の大手映画情報サイト「猫眼电影」では、ユーザーレビューで9.5点を得ている。こうした高い評価もヒットにつながったと言ってよさそうだ。