日本では2022年11月11日に公開、大ヒットを続ける『すずめの戸締まり』が、海外でも人気を集めている。その人気は興行収入の数字に跳ね返り、各地で大きな数字を残している。
直近では世界最大の映画市場の北米で、ヒットの目安となる興行収入1000万ドル(約13億円)を超えた。映画は4月14日(金)に公開、初週末ランキングは7位でスタートした。その後は北米2000スクリーン以上の公開で動員を積み重ね、公開から20日目の5月2日に1000万ドルに達した。
これは同じ新海誠監督作品の『君の名は。』(500万ドル)、『天気の子』(800万ドル)の記録を超える。北米ではこれまでにも、『ポケットモンスター』や『鬼滅の刃』、『ドラゴンボール』など、テレビシリーズから展開する映画でより大きなヒットがある。しかし劇場オリジナル企画で公開時に1000万ドルを超えたのは、『借りぐらしのアリエッティ』(1900万ドル)と『崖の上のポニョ』(1500万ドル)の2作品しかない。『すずめの戸締まり』は、11年ぶり突破で、スタジオジブリ作品以外では初になる。
しかし興行数字がより大きいのは東アジアである。すでに大ヒットが伝えられている中国では、5月に入り『すずめの戸締まり』の興行収入は8億元に達した。日本円では約156億円になる。日本の興行記録145億円をも上回る。持続的な人気が大きな数字につながり、中国で最もヒットした日本映画の数字を更新している。
『すずめの戸締まり』は韓国でも、最もヒットした日本映画になった。こちらも4月末段階で52億円の収入で、現在も興行中だ。動員数は500万人を突破。韓国の人口が日本の半分以下であることを考えれば大きな数字だ。また台湾でも興行収入は12億円と、米国並みの規模である。
現在集計できる地域だけでも、現時点の『すずめの戸締まり』の海外興収は266億円にもなる。これは国内興行収入の1.8倍。新海誠監督は、中国興収が国内興収を超えた時点で、自らのTwitterで「個人的には、日本のアニメーションの世界興行が別のフェーズに入ったと実感しています」と発言している。
その言葉どおりに、日本アニメが映画興行でも日本より海外でより大きな売上を実現する新たな潮流が起き始めている。新海誠作品はその先頭にいると言えそうだ。