文化庁映画賞映画功労部門、アニメ編集の千蔵豊氏ら6名顕彰

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 文化庁は2021年9月27日、令和3年度文化庁映画賞(文化記録映画部門・映画功労部門)の受賞作品と受賞者を発表した。このうち映画功労部門にはアニメーション編集の千蔵豊氏、特殊美術造形の村瀬継蔵氏、また小野寺桂子氏(映画編集)、佐々木原保志氏(撮影監督)、鈴村髙正氏(映画美術)、星一郎氏(映画録音)ら計6名が選ばれた。
 文化庁映画賞映画功労部門は、毎年日本映画の制作を支えてきた功労者を顕彰する目的で行われている。俳優・女優や監督といったスポットライトがあたる役職だけでなく、幅広い職種から受賞者が多く選ばれているのが特徴である。今回も編集や撮影、録音、美術といった分野を対象にした。
 贈呈式は11月2日、都内の帝国ホテルで実施予定だ。期間中は、近隣で東京国際映画祭も開催されている。

 受賞者のうちアニメーション分野で広く活躍したのが、アニメ編集の千蔵豊氏である。東映京都撮影所を経て、1963年に東映動画(現・東映アニメーション)に出向、1973年にはさらにタバックへ出向し、同社の取締役も務めた。編集システムの整備や新人育成、にも務めた。
 代表的な編集の仕事にはテレビアニメ黎明期の『狼少年ケン』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『長靴をはいた猫』など。監督や演出家の意図を、質の高い作品にまとめあげる編集技術が評価されている。

 村瀬継蔵氏は特撮映画で使われる怪獣造形などの専門家。東宝で特殊技術課、特殊美術で従事した。『大怪獣バラン』、『モスラ』、『大怪獣ガメラ』など代表作がある。
 また造形会社エキスプロダクションの設立に参加、ツエニーを設立し代表取締役も務めている。ガメラシリーズや『怪竜大決戦』、さらに『里見八犬伝』や『帝都物語』にも参加している。大作で活躍に加えて、多くの後進を育成したことも功績としている。

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