近年、テレビアニメの海外輸出の成長が指摘されることが増えてるが、それが行政の調査からも明らかになった。総務省は2017年4月10日に情報通信政策研究所による「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2015年度)」を公開、2015年度の日本の放送コンテンツ海外輸出総額が約288億5000億円であると発表した。
「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析」は、日本の放送番組とその関連コンテンツの海外輸出状況を放送会社、プロダクションを中心にまとめている。そこからは日本の放送番組の海外輸出が急増していることが分かる。
まず目を惹くのは、総額の増加である。2012年度には番組放送権、インターネット配信権、ビデオ・DVD化権、フォーマット・リメイク化権、商品化権他を合算した輸出金額は104億4300万円、13年度、14年度にそれぞれ前年比32%増、15年度は58%増と高い成長を続ける。15年度は3年前の2.8倍にもなる。
番組放送権、フォーマット・リメイク化権、商品化権の伸びも大きいが、インターネット配信権が12年度の6億9000万円から85億7000万円(2015年度)と文字どおり一桁変わったことが大きい。すでに96億6000万円の番組放送権に並ぶ輸出の柱である。
ジャンル別では引き続きアニメの存在感が圧倒する。2013年度の85億7000万円が15年度には203億8000万円にまで達した。これは全体の76.6%にあたる。特に北米向けで85.1%、ヨーロッパ向けで86.7%と欧米への輸出はほぼアニメという状況だ。
一方、アジア地域では、アニメのほかバラエティとドラマに存在感がある。これまでは韓流に押されてきたとされるドラマも、13年度の18億3000万円、14年度20億8000万円、15年度28億8000万円と確実に拡大している。アジア地域へのドラマ輸出には、今後のビジネスチャンスがありそうだ。
実際に輸出先では北米の成長にも関わらず、アジアが他地域を圧倒している。アジアは全体の56.4%と半分以上を占める。アジア攻略をどうするかが、さらなる輸出拡大の鍵だ。
288億円は小さくない金額だが、実際の海外輸出はさらに高い可能性もある。今回の調査対象は163社の放送事業者と日本動画協会に加盟する7つのプロダクションに限られている。
しかし、アニメで言えば、日本動画協会に加盟していないプロダクションは少なくなく、そうした企業の数字は加算されていない。また、海外番組販売は、放送事業者以外、ビデオソフトメーカーや広告代理店などが担当することが多い。こうした数字の一部も含まれていない可能性が大きい。いずれにしてもトレンドは右肩あがり、今後もこうしたトレンドを維持できるか、放送番組関係者の力量が問われている。
「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2015年度)」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000477810.pdf