総務省が毎年まとめる調査「放送コンテンツの海外展開に関する現状分析」の最新版(2020年度)によれば、日本のアニメ放送番組の海外輸出額は引き続き伸びている。総務省は2020年度の放送番組全体の放送権、インターネット配信権、ビデオ・DVD化権、番組フォーマット・リメイク権、商品化権などの海外売上高(輸出)の総額を525億円とした。19年度比で1%増であった。
全体に占めるアニメの割合は引き続き高く、海外輸出総額の88.9%を占めている。金額では496.3億円である。2020年度は新型コロナ感染症の拡大した時期と重なるが、日本アニメの需要は引き続き強かったことになる。
アニメの海外輸出で金額が最も多い地域は、東アジアの224億2800万円。次いで北米の133億810万円だ。ヨーロッパは40億円とかなり引き離され、東南アジア27億3200万円、南アジア5億500万円となる。東南アジアとインド地域(南アジア)を合算するとヨーロッパにかなり近づくのは、近年の傾向かもしれない。
このほか地域を区分しない全世界が44億1300万円と金額を大きく伸ばしている。これは全世界の配信権を一括購入する配信プラットフォームのビジネス拡大を反映しているとみられる。
アニメの堅調は、数字の伸びにも現れている。2018年度は405億3000万円、19年度は441億9000万円、20年度の496億3000万円は前年比12.3%増になる。アニメが伸びる一方で、他ジャンルが伸び悩んでいることから、全体にアニメが占める割合は81.1%(18年度)、19年度(87.2%)、20年度(88.9%)と拡大傾向だ。
また全体では放送権・配信権以外の部分商品化権(ゲーム化権を含む)の伸びが大きく、売上げに占める割合も38.5%と最大だ。近年、放送局各社がIP創出、アニメ事業を強化をする動きが目立つが、その背景にはこうしたビジネスの動きもありそうだ。
放送コンテンツの海外展開に関する現状分析(2020年度)
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu04_02000185.html