2017年3月28日、東京千代田区有楽町のニッポン放送イマジンスタジオにて、マンガ大賞授賞式が行われた。この場でマンガ大賞2017の受賞作が発表され、柳本光晴の『響~小説家になる方法~』が大賞に輝いた。
本作は2014年から小学館のマンガ雑誌「ビッグコミックスペリオール」にて連載を開始した。15歳の少女・鮎喰響が日本の文壇に衝撃を与えていくストーリーが描かれる。マンガ大賞はこれまでも大賞、最終選考ノミネートにより数々の傑作を押し出してきたが、柳本光晴は商業連載は2010年代以降と新進、『響~小説家になる方法~』はその中でも格別な作品になりそうだ。
2017年は全部で13作品が最終選考に挙げられた。投票は審査委員の投票によるポイント制を取っている。今回は『響~小説家になる方法~』67ポイント、続いて『金の国 水の国』(岩本ナオ)64ポイント、『ダンジョン飯』(九井諒子)63ポイント、『アオアシ』(小林有吾・協力:上野直彦)60ポイントと、上位4作品が大激戦だったことが分かる。
各種のマンガ関連アワードは、有力作品の原作獲得を目指す映画・アニメ関係者からも常に注目されている。マンガ大賞でも第1回から第6回までは、全ての作品が映像化さえている。『響~小説家になる方法~』も、今後の映像化が視野に入ってきそうだ。
マンガ大賞は2008年にスタートした。マンガに関する賞やアワードは数多いが、なかでもとりわけユニークな存在だ。アワードのコンセプトは、「面白いと思ったマンガを、その時、誰かに薦めたい!」。マンガが好きな有志によって運営、選考されている。審査員には本職のマンガ家やマンガ編集者は参加しない。作り手や批評家ではなく、読者目線を重視する。
さらに一方で、ノミネート作品は、発刊された単行本が8巻以内のもの、審査員は最終ノミネート作品を全巻読むことが必要と独自のルールを定める。これもまだ見ぬ傑作を世に広めるためである。
ボランティアのみの運営で、2017年には10周年を迎えた。賞の知名度もあがり、受賞の影響も大きくなっている。その独自のスタンスで、これからも注目度の高い賞として続きそうだ。
マンガ大賞公式サイト
http://www.mangataisho.com/