手塚治虫文化賞のマンガ大賞候補に8作 「ゴールデンカムイ」「昭和元禄落語心中」は2回目

手塚治虫文化賞

 大きな話題となるマンガ賞、朝日新聞が主催する手塚治虫文化賞のマンガ大賞最終候補作品が、このほど発表された。21回目を迎える今回は、2016年を通して発表された作品を対象としており、8人の社外選委員の投票と書店員・マンガ関係者による推薦でノミネート8作を決定した。
 『クジラの子らは砂上に歌う』(梅田阿比)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『SAD GiRL』(高浜寛)、『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ)、『トクサツガガガ』(丹羽庭)、『ど根性ガエルの娘』(大月悠祐子)、『花に染む』(くらもちふさこ)、『レインマン』(星野之宣)である。このうち『ゴールデンカムイ』は、書店員・マンガ関係者の推薦で1位とされていた。

 今後、選考委員会での討議を経て、4月下旬ごろに朝日新聞上で大賞作品が発表される。またマンガ分野での清新な才能を対象とする新生賞、短編・4コマ・1コマを対象とする短編賞も合せて発表される。
 第21回の選考委員は、杏、桜庭一樹、里中満智子、中条省平、中野晴行、南信長、みなもと太郎、ヤマダトモコらに朝日新聞社から2名が加わる。手塚治虫文化賞は選考委員による投票でなく、合議制がとられているのが特長となっている。また選考の過程も公開されるなど、結果を知るだけでなく、マンガに対する考え方を知るきっかけにもなる。

 今回、最終候補に挙げられた作品は、いずれもマンガファンの間では話題作、傑作として評価が高い。しかし、マンガ大賞は幅広いジャンルから通常は毎年1作品のみが選出され、とりわけ受賞の難しいアワードになっている。
 このため受賞には至らず、複数年最終候補に挙がる作品も少なくない。第21回は『ゴールデンカムイ』が2年連続、『昭和元禄落語心中』は第17回に続き2回目のノミネートだ。
 また傑作が多いだけに、映像化される作品も多く、アニメファンや映画ファンにも見逃せない。『昭和元禄落語心中』は既にアニメ化されており、『クジラの子らは砂上に歌う』はアニメ化が決定している。最終候補作品からさなる映像作品が今後飛び出すこともありそうだ。

第21回手塚治虫文化賞 マンガ大賞最終候補作品

『クジラの子らは砂上に歌う』 梅田阿比(秋田書店)
『ゴールデンカムイ』 野田サトル(集英社)
『SAD GiRL』 高浜寛(リイド社)
『昭和元禄落語心中』 雲田はるこ(講談社)
『トクサツガガガ』 丹羽庭(小学館)
『ど根性ガエルの娘』 大月悠祐子(白泉社)
『花に染む』 くらもちふさこ(集英社)
『レインマン』 星野之宣(小学館)

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