人気マンガの原作版権の商品化を無償で提供する。マンガ出版社のマッグガーデンが、そうした大胆な取り組みをスタートした。
マッグガーデンは2020年3月10日に、ヤマザキコレのマンガ『魔法使いの嫁』単行本13巻が発売されたのに合わせて、本作の原作版権を用いた日本国内での商品化を期間限定で無償化すると発表した。2020年3月10日から2022年3月9日まで2年間に発売される商品が対象になる。累計650万部のヒット作、アニメ化もたびたびされている人気作品だけに、思い切った戦略だ。
原作版権の利用は商品化だけに限らず、タイアップ、カフェなどを含むイベントのコラボレーションなども含まれる。原作イラストの使用や作品をモチーフにしたグッズの開発などが一定の条件のもとでロイヤリティ無償にて可能になる。
利用できるのは法人のみで、個人も利用可能なワンダーフェスティバルなどの当日版権とは異なる。また通常の商品化と同様に権利者への申請と監修が必要になる。
一般にマンガやそのキャラクターなどを使用した商品開発には権利者の許諾に加えて、作品利用のためのロイヤリティの支払いが必要になる。その金額は商品販売額の数%程度、また場合によっては売上げに関係なくMG(ミニマムギャランティ)と呼ばれる最低保証金額が設定される。作家や権利保有者にとっては重要な収入のひとつになっている。
一方でライセンスを受けて商品やサービスを開発する企業にはロイヤリティの金額がハードルがなることもある。当初よりまとまった金額が必要になり、事業の採算分岐点もあがるからだ。
今回、期間限定でロイヤリティが無償化されることで、これまでになかった商品開発が可能になる。中小企業でも参入できたり、当初から少数の販売を見込んだ商品なども考えられる。
作者やマッグガーデンはロイヤリティが無償化されることで、収入が減るように見える。しかし関連商品、サービスが増え、作品の露出が増えることが期待出来る。ファンの拡大も期待出来るだろう。それでもすでに十分人気がある『魔法使いの嫁』でこれを実施するのはサプライズだ。
『魔法使いの嫁』は2013年に連載開始、2015年に数々のマンガ賞を獲るなど話題を呼んだ。2016年のOADをスタートにテレビアニメ化、2019年には舞台作品も上演されている。
身寄りのない15歳の少女チセが、人外の魔法使いエリアス・エインズワースに金で買われることから物語始まるファンタジーストーリーになっている。
マッグガーデン
http://www.mag-garden.co.jp/