2017年3月3日、東京港区のグランドプリンスホテル新高輪にて、第40回日本アカデミー賞授賞式が開催された。すでに決定している優秀賞へのアワード授与に加えて、優秀賞の中から最優秀賞が発表された。
例年は、アニメファンにとっては、前年公開されたアニメ映画から選ばれる最優秀アニメーション作品賞が関心を呼ぶぐらいだが、今年はいつもに盛り上がった。アニメファンにも馴染みのスタッフや作品が多く挙がったからだ。3日には、そうしたなかから実際に最優秀賞が相次いだ。
まず最優秀アニメーション作品賞では、片渕須直監督による『この世界の片隅に』が輝いた。2016年はアニメ映画が豊作で、優秀賞も『君の名は。』、映画『聲の形』、『ルドルフとイッパイアッテナ』、『ONE PICE FILM GOLD』と話題作でありヒット作でもある作品が数多く並んだ。このなかでベスト・オブ・ベストに選ばれたことは意味が大きい。
しかし、今年はここで終わらない。アニメーション作品の優秀賞にもなった『君の名は。』は、最優秀脚本賞で監督も務めた新海誠が、最優秀音楽賞では主題歌と劇伴を担当したRADWIMPSが選ばれた。これは実写・アニメを含めたなかからだから大きな評価である。
一方、最優秀作品賞は、往年の怪獣を現代に蘇らせた特撮映画『シン・ゴジラ』、最優秀監督賞はその総監督である庵野秀明と監督の樋口真嗣となった。庵野秀明は、「エヴァンゲリオン」シリーズや『ふしぎの海のナディア』などで知られている。映像のキャリアのスタートはアニメにある。樋口真嗣も、アニメスタジオのガイナックスやGONZOの所属も経て、アニメの仕事も多い。『シン・ゴジラ』は、アニメの世界から放った実写映画へのメッセージとも言える。
さらに『シン・ゴジラ』は、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀美術賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞と、映像づくりの部門をほぼ独占したのも大きな特長だ。映画づくりの裏方の部分で、レベルの高い仕事を残した。これが『シン・ゴジラ』のヒットと評価の高さの秘密である。
日本アカデミー賞 公式サイト
http://www.japan-academy-prize.jp/
[最優秀賞 受賞作品/受賞者]
■ 最優秀作品賞
『シン・ゴジラ』
■ 最優秀アニメーション作品賞
『この世界の片隅に』
■ 最優秀監督賞
庵野秀明(総監督)/樋口真嗣(監督)『シン・ゴジラ』
■ 最優秀脚本賞
新海誠『君の名は。』
■ 最優秀主演男優賞
佐藤浩市『64-ロクヨン-前編』
■ 最優秀主演女優賞
宮沢りえ『湯を沸かすほどの熱い愛』
■ 最優秀助演男優賞
妻夫木聡『怒り』
■ 最優秀助演女優賞
杉咲花『湯を沸かすほどの熱い愛』
■ 最優秀撮影賞
山田康介『シン・ゴジラ』
■ 最優秀照明賞
川邉隆之『シン・ゴジラ』
■ 最優秀音楽賞
RADWIMPS『君の名は。』
■ 最優秀美術賞
林田裕至/佐久嶋依里『シン・ゴジラ』
■ 最優秀録音賞
中村淳(録音)/山田陽(整音)『シン・ゴジラ』
■ 最優秀編集賞
庵野秀明/佐藤敦紀『シン・ゴジラ』
■ 最優秀外国作品賞
『ハドソン川の奇跡』