KADOKAWAがIP投資100億円、ソニーとサイバーが第三者割当引受け

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 エンタメ大手のKADOKAWAが100億円規模の資金調達を実施し、アニメ・映画・ゲーム分野への新規出資、既存コンテンツのマルチメディア展開に投じることが明らかになった。
 2021年2月4日、KADOKAWAは2月19日付で新たに普通株式 284万4950株を発行、約100億円を調達すると発表した。IT大手のサイバーエージェントとソニーが、それぞれ50億円ずつ引き受ける。
 両社それぞれ持株比率1.93%でKADOKAWAの大株主第9位(同率)となる。また今回の新株式発行に合わせてKADOKAWAは、現在保有する自社株式284万株(発行済株式の4.01%)を償却する。

 KADOKAWAはサイバーエージェントとインターネット広告事業、ゲーム事業、メディア事業などで協業・取引関係がある。両社の関係強化を探るなかで資本提携関係を構築すべきと今回の決定につながった。サイバーエージェントの持つスマートフォン向けゲームの開発・運用力とKADOKAWAのコンテンツ力を組み合わせる。
 ソニーグループとはグローバル展開におけるコンシュマー事業、ゲーム事業でつながりが深い。ソニーグループとも長期的な関係強化を目的に資本提携関係を構築する。ソニーグループのアニメやコンシューマーゲームのグローバルな展開力とKADOKAWAのコンテンツ力を組み合わせる。

 調達資金は「新規 IP の創出・開発・取得」に50億円を、「既存 IP 活用の最大化」に50億円を向ける。支出期間はいずれも21年3月~23年3月までの2年間と定めている。短期間での集中投資になる。
 KADOKAWAは書籍、映画、アニメ、ゲーム、プラットフォーム事業を核に世界に展開する「グローバル・メディアミックス」戦略を掲げている。この実現に向けた一貫だ。

 新規IP投資は、「出版権の獲得」、「アニメ・映画・ゲーム等の製作委員会出資」と「窓口権獲得」の獲得を目指すものだ。さらに国内外の出版社やアニメーション制作会社、ゲーム会社自体の買収も想定している。コンテンツそのものでなく、それを生みだす企業の獲得も目指すことになる。1億円未満から10 億円超規模の投資も視野に入れる。
 既存IPへの投資は、アニメとゲームが中心とする。マルチメディア展開、英語圏・中国語圏を中心としたグローバル展開が主な投資先だ。
 近年、国内外で日本のコンテンツは成長産業とみなされている。しかし同時にマーケットにおける競争は激化している。そこでKADOKAWAは攻めの戦略で競争を勝ち抜く構えだ。

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