2022年6月13日から18日まで、フランスで開催されたアヌシー国際アニメーション映画祭と併設国際見本市MIFAが、期間中の動員実績を公表した。発表によれば期間中に、有料の参加者登録をした人数は1万3248人となった。これまで過去最高であった2019年の1万2300人を上回り記録を更新した。
盛況の理由は3年ぶりに復活した完全リアル(オンサイト)開催にありそうだ。新型コロナ感染症の影響を受けて2020年はオンライン開催、21年はオンラインとリアルのハイブリット開催としていた。こうした反動もあり、リアルでのコミュニケーションの必要性がより感じられたためかもしれない。
期間中の上映は300回以上、イベントやセミナーなど165以上が実施された。登録参加者とは別に無料で鑑賞できる野外上映などのプログラムには、約5万人が参加したと推定している。
参加者のうち国際見本市を含むビジネス関係者向けのMIFAは4300人。こちらも2019年の4143人を上回る。また学生は2764人を占めた。アヌシーがヨーロッパの中でも必ずしも地の利がよいわけでないことを考えれば、これはかなりの数となる。アヌシーでは学生や若手に向けた各国のアニメーション採用活動が活発で、有力スタジオがブースを構えて学生とのミーティングやポートフォリオを見たりしている。就職機会を得る有力な場所として機能していることが理由だ。
このほかアニメーションを買い付けるバイヤーは297人、報道をするプレスが314人となっている。アニメーションだけの見本市としては、こちらの数もかなり大きくなっている。
それでも今回はロシアの不参加に加えて、中国、韓国など新型コロナに対する警戒の大きな国の参加者が減少していた。上映作品や関連イベントが活発であった日本も約100名の参加者があったが、それでも東京都の例年あった参加を見送る例もあり、コロナの影響は避けられなかった。
それを補ったのがアニメーション分野の新興国の活発な動きだ。会場にはアフリカやラテンアメリカ、東南アジアなど、現在アニメーション制作に乗り出している国々が積極的に自国のアニメーションをアピールしている様子が見られた。またMIFA会場の入り口はアフリカブース、来年の名誉国はメキシコとアヌシーも、そうした地域を重視していることが分かる。
世界的なアニメーション産業の上潮ムードが、アヌシーに波及していることが全体から感じられていた。コロナ禍からさらに本格的な回復が期待される来年のアヌシーが、さらなる拡大をする可能性もありそうだ。2023年は6月12日(月)から17日(土)までの6日間の予定で開催される。