エイベックス売上げ好調も 定額映像配信ゲオチャンネル事業で減損処理

ファイナンス決算

 エイベックス・グループ・ホールディングスが、2017年2月9日に17年3月期第3四半期の決算を発表した。連結売上高は1230億4300万円(12.6%増)、営業利益は38億100万円(6.0%増)、経常利益30億3100万円(31.3%増)と、増収増益であった。
 しかし、好調な事業とそうではない事業の差は大きく、個別事業では堅調さを感じさせない分野も少なくない。なかでも第3四半期は映像事業における「ゲオチャンネル」の不調が大きかった。
 「ゲオチャンネル」は、ゲオとエイベックス・デジタルによる定額見放題の映像配信サービスである。エイベックス・グループはこの収益性が低下しているとして、同サービスの引当金繰入額を12 億2600万円、さらにたな卸資産の評価損を3 億7100万円計上した。またチャンネル用のソフトウエアなどでも減損損失を4億7000万円計上した。「ゲオチャンネル」は2016年2月にサービスをスタートしたばかりだ。しかし映像配信の事業の競争激化もあり、開始から1年を待たずに事実上損切りをしたかたちだ。

 しかし映像事業全体では、売上高は333億円(13.4%増)、営業利益は9億円(前年同期は6億円の赤字)と堅調である。『おそ松さん』などのヒットがある映像パッケージが特に好調で、売上高は149億円(72.1%増)、売上総利益は59億円(79.5%増)である。
 第3四半期までのDVD/Blu-rayの売上枚数は90万6000枚。前年同期の約2.6倍にもなる。第4四半期もすでに『ユーリ!!! on ICE』のヒットがあり、通期でも好調な業績が期待出来そうだ。

 一方、映像配信は伸び悩んでいる。映像配信会員がBeeTV45万人、dTVが463万人の合計508万人と前年同期の551万人より減少している。売上高も241億円から9.9%減の217億円、売上総利益は18億円と前年同期比43.5%減と半減した。
 映像配信の不調を映像パッケージでカバーしているかたちだ。しかし、映像業界の全体トレンドがパッケージから配信にシフトするなかでやや不安定を感じさせる。

 音楽事業は減収減益だった。売上高は373億円(4.4%減)、営業利益は13億円(55%減)。音楽パッツケージが減収減益、音楽配信が売上げ横ばいの減益、音楽出版が減収で利益が横ばいである。エイベックス・グループHD全体における音楽事業の売上割合は、3割を切った。
 代わって好調だったのが、マネジメント/ライヴ事業である。楽曲販売からアーティストマネジメント・ライヴという業界のトレンドを映し出す。売上高は541億円(24.4%増)、営業利益は22億円(19.4%増)である。ライヴ・マネジメント・マーチャンダイジングの3つが全て2ケタの伸びになっている

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