デジタルアニメーションスタジオを掲げる100studioが、今秋、韓国ソウルに新たな制作拠点100studio Seoulを設立する。2024年10月までを目途にまず会社設立し、2025年3月までに5~6人のクリエイターを採用する。まずは所属クリエイターが日本の100studioが手掛ける作品に制作協力として参加する体制とする。
さらに2026年までにスタジオを20人規模までに拡大する。将来的には、監督やキャラクターデザインなどを100studio Seoulのメンバーが担当し、マンガ原作のテレビシリーズを独自に担当できる水準を目指す。100studio Seoul独自のブランド確立を実現する。
100studioは、アニメやマンガ、ゲーム、舞台など幅広いエンタテイメントを手掛ける総合企業HIKEの傘下にある制作企業だ。2021年5月に設立され、テレビや劇場映画、ゲーム、MVなど様々なアニメーションの企画と制作を担当してきた。
2024年には、6月に公開された劇場アニメ『数分間のエールを』、今夏放送のテレビアニメ『この世界は不完全すぎる』でアニメーション制作を担当した。短期間で急成長をしている。
成長を支えるのは、スピード感のある制作体制の構築である。東京・西荻窪の中核スタジオのほか、福岡、大阪、それに台北にも100studio Taipeiとして拠点を持つ。今回の100studio Seoulは、台北に続く海外2拠点目となる。
アニメスタジオの海外拠点は、これまでにも他の日本企業で実績はあるが、100studioは現地拠点が自立したクリエイティブを発揮する体制を目指しているのが特徴だ。日本だけでなく現地の制作ニーズも取り込み、さらに現地の優秀な才能の発掘、活用を目指している。
今回の韓国スタジオ設立の背景には、2024年3月にHIKEが韓国の清江文化産業大学校と文化産業についての産学連携協定の了解覚書(MOU)を締結したこともある。
100studio代表の堀口広太郎氏は、アニメーション制作に対する韓国のクライアント企業からの信頼を得られるようしたいとしている。アニメを通じた国境を越えたクリエイティブへの積極的な試みの今後の行方が注目される。