KADOKAWA、韓国で日本作品の翻訳出版会社設立 共同出資で55%取得

KADOKAWA BY4M 

 KADOKAWAの海外翻訳出版事業の積極拡大が続いている。KADOKAWAは2024年3月6日、これまでのインドネシア、フランスに続き、韓国でも現地企業と共同出資の翻訳出版社を設立することを明らかにした。
 共同出資の相手方となるのは、ソウルに拠点を持つエンタテイメント会社BY4M STUDIOである。BY4Mグループは2017年に設立されたばかりだが、SNSなどを利用した新世代のメディアを使った事業を得意とし、広告から出版、映画へと広い分野で急成長している。新会社設立は2024年5月以降になる予定。出資金額などは明らかにされていいない。

 新会社はBY4Mがまず出版事業部門を分割スピンオフするかたちで会社を設立する。KADOKAWAが有償増資により、この会社の株式を取得する。増資後のKADOKAWAの持株比率は55%と過半数を超える予定だ。機動的なビジネス展開が可能になるだろう。
 新会社は日本作品の現地翻訳出版を目指す。またKADOKAWA作品だけでなく、これまでBY4Mが取り扱ってきたそれ以外の日本の出版社の作品も対象とする。
 
 KADOKAWAによれば、今回の韓国における共同出資事業は同社の掲げる「グローバル・メディアミックス with Technology」の一環である。これまでの出版事業は、北米、中華圏、東南アジア圏が中心であったが海外拠点の拡大を目指している。
 韓国語マーケットは、KADOKAWAにとっては英語圏に続く海外出版ライセンスの2位の売上げ規模を持つ。一方でこれまではKADOKAWAは、自社グループ出版企業を韓国に持つことはなかった。直接進出することで、この有望マーケットのさらなる開拓をすることになる。
 まずはKADOKAWA作品をBY4Mの得意とするデジタルマーケティングで市場拡大を目指す。また韓国の作品の発掘も視野に入れ、日本と韓国の相互の越境メディアミックス展開や新規領域参入にも取り組むとしている。

 KADOKAWAは、昨年来、今回と同様のスキームで世界各国で現地の拠点づくりを進めている。現地ですでに日本コンテンツの翻訳出版をする企業の該当事業を分割、その事業を買収、もしくは新会社として出資する。タイ、インドネシア、フランスが同様のケースだ。
 こうしたやりかたは独自に新会社を立ち上げるよりも、すでに現地マーケットを熟知したパートナー企業のノウハウを活用できる点でメリットがある。相手先企業は現地では日本作品については新規参入の色合が濃く、多くの作品を持ち、資本力もあるKADOKAWAをパートナーを組むことで勝ち残りを目指す。両サイドにメリットのあるかたちになっている。

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