国内ライブエンタメ市場過去最高の6857億円、音楽フェスも過去最大

音楽

 ぴあ総研は、毎年行っているライブ・エンタテインメント市場動向に関する調査の確定値を公表した。発表によれば2023年1月から12月のライブ・エンタテインメント(音楽・ステージ)市場規模は、6857億円。前年比21.3%増だった。
 国内ライブエンタテイメント市場は2020年から始まった新型コロナウイルス感染症の影響で大打撃を受けていた。2020年は前年対比18%、21年も19年対比30%と大きく落ち込んだ。22年に19年の9割水準まで回復していたが、23年はさらにこれを乗り越えて過去最高を記録した。

 ぴあ総研は記録更新の理由として、「新型コロナウイルス感染症の5類移行で人流が活発化したこと」、「チケット単価の上昇」、「2万人収容の音楽専用会場である横浜のKアリーナなど首都圏を中心に大規模会場が相次いで開業したこと」の3つを理由に挙げている。
 大型会場の増加はコロナ禍前に懸念されていた会場不足に対応するもので、5類移行後にその効果が現れた。こうした会場は、需要が増しているアニメ系関連イベントでも積極的に活用されている。Kアリーナでは「進撃の巨人10th ANNIVERSARY “ATTACK FES”」、「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 6th Live! I love You You love Me」、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」、「KING SUPER LIVE 2024」などが開催されている。
 会場の大型で1公演あたり動員数も大きく伸びている。2019年にはいちイベント当たり610人だった動員数は2023年には856人へ上昇した。
 さらに近年のインフレの影響もある。チケット価格が上昇傾向にありチケット単価は2019年の7600円から2023年は8603円と13%上昇した。これが金額ベースでの市場の拡大につながった。
 ジャンル別では音楽が前年比20.6%増の4757億円、ステージが23.1%増の2099億円と、いずれも20%を超える伸びだった。

 ぴあ総研は、フェスティバル形式の音楽ポップスのイベント「音楽フェス」の市場も算出している。2023年は過去の記録を大幅に更新した。
 2023年1月~12月に開催された音楽フェスイベントの動員数は、過去最高であった2019年の295万人を大きく上回る341万人だった。チケット売上から算出する市場規模は390億円で前年比35.4%増、こちらも過去最高の2019年の330億円を超えた。
 ただしぴあ総研では、盛況の一方で「Aichiアニソンフェス」「X-CON」など突如中止となるフェスが現れていることを懸念として指摘している。中止の背景には運営スタッフの人手不足や物価上昇による運営コストの高騰がある。会場不足から新型コロナ禍感染症と大きなヤマを乗り越えたが、現在は新たな課題に直面している。

 ライブ・エンタテインメント市場は、今後も拡大が予想されている。ぴあ総研は今後も国内各地で新設会場が安定稼働するならば、2030年には市場は7360億円まで拡大する可能性もあるとみる。
 一方で、国内人口の減少、働き手不足の顕在化、さらに高度経済成長期に設置された劇場・音楽堂などの改修・建替えが、成長阻害要因として考えられるとしている。

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