アニメ関連ライブ市場は195%増の121億円、依然コロナ禍前の半分

音楽

 新型コロナ禍の中、アニメ業界で最も打撃を受けたのはアニメ関連ライブ市場である。ぴあ総研の調査によれば、2019年にはアニソン、声優を中心としたアニメ音楽ライブ市場は245億円あったが、コロナ禍の初期の直撃を受けた2020年には41億円と前年比で83%もの減少と大きな痛手を受けた。イベントの中止や延期、制限が相次いだためだ。
 ではコロナ禍対応が進んだ2年目の2021年の市場動向はどうだったのだろうか。2022年10月5日にぴあ総研は、2021年1月から12月までに開催されたアニメ関連ライブの市場動向を追った調査結果を発表した。それによると市場規模は121億円と前年比195%増、およそ3倍と急回復した。

 コロナ禍は続いたが、そうした状況への対策や対応が進み大規模イベントも含めて開催が増えてきたことが理由になる。
 大きなところでは2020年には実施されなかった国内最大のアニソンフェス「Animelo Summer Live」が2021年8月に開催されている。会場はさいたまスーパーアリーナで、3日間で約1万5千人を動員した。
 また開催延期後に2021年1月に無観客開催をした「ANIMAX MUSIX」は、11月には改めて横浜アリーナで有観客での公演を実施した。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS」のツアーイベントなども行われ、全国の会場に活気が戻ってきた。

 しかし、それでも121億円は過去最高であった2019年の245億円の半分にも達してない。音楽関連事業者、会場運営企業にとっては、厳しい状況が続いている。これは2021年には依然、開催にあたって収容人数の制限などが続いたためである。本格回復は22年以降に期待することになる。
 アニメ関連の市場は、2010年以降に配信やタイアップ、舞台、展示会などますます多彩な広がりをみせてきた。なかでも音楽ライブ市場は2013年の72億円から2015年には158億円、2018年には200億円、2019年には245億円と急成長してきた。今後のアニメビジネスを支える一分野としてみなされてきた。コロナ禍でこうした順調な成長は水を差されたが、アニメを起点にした体験型のユーザーのニーズは依然大きなはずだ。コロナ禍を超えた成長が、今後は期待されそうだ。

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