IGポート、マンガ家移籍で特別利益2億円 ブシロードが支払い

『魔法使いの嫁』

 エンタテイメント企業IGポートのグループ会社マッグガーデンと出版契約を結んでいたマンガ家ヤマザキコレ氏が契約を清算し、ブシロードワークスに移籍する。IGポートはブシロードワークスと合意書を締結し、契約清算の補填金2億円をブシロードワークスより受け取る。
 IGポートは2024 年5月期第3四半期にこれを特別利益に計上する。また2023 年7月に公表した中期経営計画では、ヤマザキコレ氏のヒット作である『魔法使いの嫁』は休載を前提に計画していた。このため出版事業への業績への影響は軽微になる。

 ヤマザキコレ氏は2013年にマンガ家デビュー。マッグガーデンのマンガ誌「月刊コミックブレイド」で連載開始した『魔法使いの嫁』でブレイクした。累計部数は1000万部を超えるヒット作だ。主な活躍の場をマッグガーデンの雑誌やウェブサイトとしていた。
 2016年にはOVAとして初アニメ化され、IGポートグループが出資、また同じグループのWIT STUDIOがアニメーション制作を担当した。テレビシリーズ、2度のOVA化といずれのアニメもIGポートが軸となっている。現在は、グループ以外のスタジオカフカにより、テレビアニメ第2シーズンが制作中だ。
 『魔法使いの嫁』はIGポートグループの目玉タイトルのひとつで、2018年5月期には版権売上高17億8000万円のうち4割近くを稼ぎだしていた。

 ヤマザキコレ氏の移籍は、マッグガーデンで長年、担当編集者であった新福恭平氏が2023年7月にIGポートより離れて、新たにブシロードワークスの代表取締役となったことが影響していそうだ。
 新福氏は、2017年にIGポート内の電子マンガ配信サービス事業会社リンガ・フランカの代表取締役に就任した。しかし同社は2023年に事業終了している。長年の担当編集者と共にヤマザキコレ氏も、ブシロードワークスに移ったかたちだ。

 ブシロードワークスでは、新たに電子マンガ配信サービスを強化している。2023年12月21日よりこれまでの配信サイト「コミックブシロードWEB」の名称を、「コミックグロウル」に変更する。新サイトオープンと同時に『魔法使いの嫁』新章の連載を開始する。新サイトの目玉作品との位置づけだ。翌12月22日には、ヤマザキコレ氏の別作品『ゴーストアンドウィッチ』の連載も開始する。
 連載だけでなく単行本でも展開する。2024年4月頃に『魔法使いの嫁』最新単行本第20巻の発売を予定。さらに『魔法使いの嫁』既刊も、新たにブシロード版として刊行していく。ただしタイトルや判型、単行本デザイン、タイトルロゴなどは、これまでのマッグガーデン版からの変更はしない。マッグガーデンでは在庫処分をするが、費用は精査中だ。

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