2013年に設立された新興アニメスタジオ株式会社3Hzは、主要事業にあたるアニメーションの企画と制作を同業大手のA-1 Picturesに譲渡したことを明らかにした。該当事業は現スタッフも含めて、A-1 Picturesに承継される。
3Hz は「Studio 3Hz」のブランドで、2014年の『天体のメソッド』をスタートに創業よりアニメーション元請制作を行ってきた。『プリンセス・プリンシパル』、『はたらく魔王さま!!』、『 A3!』などのヒット作がある。
現在は2018年のヒット作『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』の続編『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ』を、2024年10月放送開始に向けて制作中だ。本作のアニメーション制作は、A-1 Picturesのもと同社の名義にてこれまでと同じスタッフにて継続される。
近年、大手のエンタテイメント会社、アニメ会社が、中堅以下のスタジオを買収するケースが増えている。この春以降だけでも、3月にバンダイナムコフィルムワークスがエイトビットを子会社化、5月には東宝がサイエンスSARUを完全子会社すると発表している。
こうした背景には、近年のアニメーション制作現場費の高騰や人材獲得難、元請制作会社の増加などで、中小の制作会社の経営の難易度が増していることがありそうだ。制作予算も大きくなっており、大手企業の傘下に入ることで経営安定化を目指す。今回は事業譲渡とやや変則的であるが、安定したアニメーション制作の維持という点で同じ流れにあると見ていいだろう。
A-1 Picturesは、エンタテイメント大手アニプレックスの主要スタジオ子会社として2005年に設立された。設立以来、『おおきく振りかぶって』、『黒執事』、『アイドルマスター シンデレラガールズ』など数多くのヒット作を生み出しきた。現在は業界の大手スタジオのひとつである。
アニプレックスはA-1 Picturesのほか、CloverWorksと複数のアニメスタジオをグループに持つ。またアニプレックスはアニメ「ソードアート・オンライン」シリーズの企画・製作に参加している。こうした点で、『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』を制作する3Hzと近い関係にあった。