人気声優の音声をAIで活用 英語・中国の実現で世界を目指す


 声優業界で大手のタレント事務所・青二プロダクションとAIを活用した音サービスのベンチャー企業CoeFont(コエフォント)が、グローバル戦略パートナーシップを締結した。2024年10月7日に発表された。
 今後、両社は協力してAI音声技術を活用したサービスのグローバル展開を進める。第1弾では青二プロダクションから事務所所属のベテラン野沢雅子や銀河万丈をはじめ10名の声優が参画する。 

 CoeFontは東京工業大学(現・東京科学大学)の出身者が2020年に設立したAI技術のベンチャー企業である。現在は音声合成に注力しており、AIを活用することで、音声を様々なタイプの声を利用、変換可能とするサービスをプラットフォームで提供する。
 著名人の声を活用したサービスも提供している。これまでにも森川智之、後藤邑子といった人気声優、ひろゆきや成田悠輔などのタレント・著名人の声のサービスも行っている。 

 今回のパートナーシップは、グローバル展開が目玉だ。新たな事業では日本語で収録した音声データを、英語や中国など多言語のAI音声に変換する予定だ。
 現在、日本アニメの人気は世界に広がるが、海外では作品は吹替えや字幕で提供される。しかしアニメから広がる場面では、言語のハードルなどもあり日本の声優の活躍の場は限られる。AIによる多言語化が、こうした場で活用できると考えもありそうだ。Amazon AlexaやGoogle アシスタントのような音声アシスタント、ロボットや医療機器の音声ナビゲーション搭載製品への提供などを目指す。

 一方でAI音声のアニメ番組や外国語映画の吹き替えなどの利用はしないとしている。現在、様々な分野で起きているAI導入が、実在のスタッフの仕事を奪うのでないかとの懸念を配慮している。AI音声が「演技」する分野では、まだまだ対応できないという技術的な課題もありそうだ。
 AI音声技術では、特定の声優や役者などの声を勝手にデータとして入力して活用するといった権利侵害が懸念されている。CoeFontは声の持ち主の権利を守りながら、AI音声の活用の可能性を探っていくとしている。

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