東映アニメーションが2023年3月期業績で好調なスタートを切っている。2022年7月28日に発表された第1四半期決算は、連結売上高が180億6100万円(37%増)と過去最高に達した。また営業利益が41億1000万円(3.2%減)、経常利益は53億700万円(25.5%増)、当期純利益は40億2300万円(32%増)だった。
売上げの大きな伸びは、大型映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の製作収入が計上されたこと、8月公開の『ONE PIECE FILM RED』関連の売上げが伸びていることにある。また利益面では出資先の受取り配当金や円安による為替利益の発生が数字を押し上げた。
東映アニメーションは今期の通期連結売上高で過去最高700億円を予想するが、第1四半期ですでにこれを上回るペースの進捗になっている。
映像製作・販売事業は劇場アニメで『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』効果があり、前年同期比78.1%増の76億8400万円。テレビアニメは前年並み。海外映像(番組販売)は『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』の海外上映権販売と海外映像配信権販売が好調で90%増となった。同作は北米向け販売が特に好調で、海外映像売上の北米シェアを引き上げた。中国向けでは『ワンピース』などの配信権販売が堅調だった。
ただし営業利益は5億5400万円(41.6%減)と大幅に減少している。大型劇場作品の製作原価が増加していることを理由にあげる。東映アニメーションは期間中、『ONE PIECE FILM RED』、『THE FIRST SLAM DUNK』などの製作を進めていた。
版権事業は売上高95億6300万円(12.6%増)、営業利益は44億8600万円(5.2%増)と増収増益だった。国内版権部門は劇場公開に連動した『ワンピース』や「ドラゴンボール」シリーズの商品化権販売が活発だった。
海外版権部門では、欧米では「ドラゴンボール」シリーズ、中国では『ワンピース』の商品化権販売が好調であった。さらに中国向けで「デジモン」のゲーム化権販売が好調、新規アプリゲームのMGも計上した。
第2四半期以降は、堅調なテレビシリーズに加えて『ONE PIECE FILM RED』、『THE FIRST SLAM DUNK』の劇場アニメの行方が業績を左右しそうだ。さらに海外向けでは新シリーズから配信プラットフォームが変更になった『Saint Seiya: Knights of the Zodiac – Battle for Sanctuary -』も登場する。
2024年3月期以降に向けた企画もすでに動き出している。2023年公開予定の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』、Netflix世界独占配信の『悪魔くん』、さらに新たに『美少女戦士セーラームーンCosmos』前編・後編の2023年初夏2部作連続公開の予定も発表されている。