2024年2月22日、日本芸術院は新会員の選挙を実施し、12名の会員候補者を決定した。このなかで第十分科マンガ分野として萩尾望都氏の名前が挙がった。また第七分科文芸分野には、小川洋子氏と筒井康隆氏が選ばれている。
マンガ分野は2022年に新たに設けられたばかりで、これまではつげ義春氏とちばてつや氏の2名のみが選ばれている。マンガ分野の女性会員は萩尾望都氏が初になる。
また『吉里吉里人』の作者・井上ひさし氏の前例はあるもののSF作家として主に活躍した小説家としては、筒井康隆氏が初めての選出だ。
他に今回は舞踏から4名と数が多く、尾上墨雪氏、勅使川原三郎氏、宮城能鳳氏、吉田都氏を選出。また書から土橋靖子氏、写真・映像から中谷芙二子氏、洋楽から今井信子氏と野平一郎氏、演劇から樫山文枝氏が選ばれている。12名のうち7名が女性だ。3月1日の文部科学大臣の発令により正式に会員となる。
日本芸術院は1907年に帝国美術院として創設、1947年より現在の日本芸術院の名称を用いている。117年の歴史を持つ。120名以内の会員と1名の院長と少人数に限られ、顕著な功績を残した芸術家を顕彰する機関である。
萩尾望都氏は、1949年福岡県生まれ。1969年のデビュー以来、『ポーの一族』、『トーマの心臓』、『11人いる!』といったマンガの傑作を世に放ち高い評価を得てきた。1997年に手塚治虫文化賞・マンガ優秀賞、2007年に日本SF大賞を受賞し、また女性マンガ家として初の文化功労者ともなった。
さらに海外での評価も高い。2022年に米国アイズナー賞、2024年にはアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞に輝いている。日本を代表するマンガ家と言っていいだろう。
筒井康隆氏は1934年大阪府生まれ、89歳。『家族八景』、『虚航船団』、『文学部唯野教授』、『パプリカ』といった代表作がある。泉鏡花文学賞、谷崎潤一郎賞、日本SF大賞、菊池寛賞、恩賜賞・日本芸術院賞など数々の受賞経歴がある。