2022年2月22日、日本芸術院は8分野9名を新たな会員候補として決定した。同日、日本芸術院長(高階秀璽)は文部科学大臣に上申、3月1日付けで発令される。
候補とされた9名のなかにマンガ分野から ちばてつや氏とつげ義春氏の名前も挙がっている。日本芸術院会員にマンガ分野から選出されるのは初となる。
ちばてつや氏は1939年生まれ、『あしたのジョー』や『おれは鉄兵』などの作者として知られている。漫画協会理事長を務め、文化功労賞など数々の受賞がある。
つげ義春氏は1937年生まれ。マンガ文化に大きな影響を与えた雑誌「ガロ」で活躍、国外でもよく知られた存在だ。代表作に『ねじ式』がある。フランスのアングレーム国際漫画祭特別栄誉賞を受賞している。
日本芸術院は国内の芸術活動で顕著な功績を持つ人々を讃えるものとして、1907年に設けられた。定員は120名で、日本の芸術家の最高峰ともみなされる。しかし長年、制度の改革がなく、その分類や選考方法が時代に沿わないと指摘されていた。
文化庁は2021年に「日本芸術院の会員選考に関する検討会議」をとりまとめた。このなかで会員候補者の推薦を日本芸術院会員だけでなく外部有識者により構成される日本芸術院会員候補者推薦委員会が行なうこと、マンガや映画、アニメーション、デザイン、ファッション、写真なども対象分野にすることを提言している。具体的に「マンガ」「映画」「写真・映像」の分科新設、「建築」分科の「建築・デザイン」への変更にも触れた。
ちばてつや氏、つげ義春氏の会員候補推薦も、そうした方針に従っている。今回、マンガは文芸部門でこれまでの「小説・戯曲」「詩歌」「評論・翻訳」に加わる4つめの分科となる。
しかし今回は検討会議で求められた「映画」での2名以上の会員選考は実現していない。映画やアニメーション関連からの選出は、今後を待つことになる。