日本マンガを原作にフランスとルクセンブルクで共同製作された長編アニメーション『神々の山嶺(The Summit of the Gods)』が北米公開、また世界配信される。映画の原作となったのは、夢枕獏の小説を基に谷口ジローがマンガ化し、2000年から2003年まで「ビジネスジャンプ」に連載された作品だ。 日本でも2016年に岡田准一主演で実写映画化されている。
監督は『とてもいじわるなきつねとなかまたち』のパトリック・アンベールだ。小粋なユーモアたっぷりの全作から一転して、山岳登頂の過酷さと世界初のエベレスト制覇に挑んだ1920年代の登山家ジョージ・マロリーの謎が絡む人間ドラマを描く。
谷口ジローは日本のマンガ家のなかでもとりわけフランスで評価が高い。代表作『遙かな町へ』もフランスで実写映画化されている。『神々の山嶺』では谷口の絵が、フランスのバンドデシネのようなタッチのアニメーションになっているのもみどころだ。
『神々の山嶺』は2021年のカンヌ国際映画祭で公式招待作品として上映された。ここで受けた高い評価から、映像プラットフォームの世界大手Netflixが本作の配信権を獲得、2022年11月30日から世界配信を開始する。
配信に先立って、10月22日にはロサンゼルスで開催されている「第4回Animation is Film映画祭」で米国プレミア上映が実施されている。これと同時に予告編を公開し、11月24日から北米で限定公開することも明らかにした。11月26日からはイギリスでも公開する。劇場公開もあり、『神々の山嶺』は2021年のアカデミー賞長編アニメーション部門のエントリー対象となる可能性も高い。
世界配信が決まった『神々の山嶺』だが、日本での鑑賞はNetflixとは別の方法になりそうである。同社の世界配信はフランス・ベルギー・オランダ・ルクセンブルクの仏語・オランダ語圏と日本・韓国は含まないとしているためだ。今後は日本での劇場公開も期待したいところだ。
『The Summit of the Gods』
監督: パトリック・アンベール
脚本: マガリ・プゾル、パトリック・アンベール、ジャン=シャルル・オストレロ
プロデューサー: ジャン=シャルル・オストレロ、ディディエ・ブリュネール、ダミアン・ブリュネール、ステファン・ローランツ
製作総指揮: ティボー・ルビー