国内大手アニメーション制作会社のプロダクション I.Gが、インディーズで活動するアニメーションクリエイターの発掘に乗り出す。2018年7月23日、プロダクション I.Gは「第1回プロダクション I.G インディーズアニメ アワード」の開催を発表、作品募集を開始した。
応募された作品の中から最優秀賞、優秀賞、努力賞、ワコム賞の各賞が選ばれる。受賞者には賞金のほか、協賛スポンサー各社からの副賞が贈られる。さらにプロダクション I.Gへのスタジオ見学や、審査員である石川光久氏と後藤隆幸氏との座談会にも招待される。アニメ制作現場をダイレクトに知るチャンスが得られるユニークなアワードとなっている。
近年は、エンタテイメント分野で新しい才能発掘のコンテストは盛んだ。マンガや小説の分野で数多く設けられている。アニメ分野でも企画やキャラクター、脚本などの様々なコンテストが実施されている。
しかし一方で、アニメーション作品自体のコンテストは必ずしも多くない。逆にここ数年はアニメーション神戸やSKIPシティデジタルシネマ映画祭アニメーション部門も2017年に終了とむしろ数は減少傾向だ。多くの才能を多く送り出してきたCGアニメコンテストも隔年開催になるなど勢いがない。インディーズアニメ アワード設立は、クリエイターに作品発表の場を提供する機会になる。
プロダクション I.Gにしても、すでにクリエイティブの能力があり、作品を制作できる才能を囲い込める。大人数の協業で制作するアニメーションスタジオと一人または数人で制作するインディーズ作家は、創作の仕方で大きな違いがあると思われがちだ。
しかし『君の名は。』の新海誠、『ポブテピピック』の青木純など、商業シーンで活躍するインディーズの出身者は少なくない。多くの作業をひとりでこなせる作家は、貴重なクリエイティブの人材なのである。
今回応募された作品は、まずプロダクション I.Gが運用するアニメ動画配信アプリのプラットフォーム「アニメビーンズ」にて配信される。視聴者はアプリ機能を活用することで、これらの作品を評価や応援することが出来る。
その視聴者からの支持、感想なども含めて、審査員が各賞を決める。審査員はプロダクション I.G代表取締役の石川光久氏と、取締役の後藤隆幸氏。プロダクションI.Gの社名にある「I.G」は石川氏と後藤氏のイニシャルの頭文字を組み合わせたものだ。そのふたりが作品を選ぶとなれば、同社の初心に立ち返るとの意味もありそうだ。
受賞作をはじめ、高く評価された作品には、「アニメビーンズ」への公式作品にピックアップする。また公式作品になると、プロダクション I.Gによる制作費の負担や作品収益の分配が行われる。
さらに有名声優起用のセッティングやトップクリエイターからのアドバイスなどをアレンジ、作品づくりの支援をする。大手スタジオならではの支援こそが、一番の魅力になりそうだ。
第1回プロダクション I.G インディーズアニメ アワード
https://www.production-ig.co.jp/hotnews/2018/072301.html