長編コンペに12作品、3月開催の新潟国際アニメーション映画祭

第2回新潟国際アニメーション映画祭

 長編コンペを中心に据えた世界でも珍しい新潟国際アニメーション映画祭は2023年3月に第1回を開催し、大きな反響を呼んだ。その勢いは今年3月15日から20日に開催される第2回にも引き継がれそうだ。
 2024年1月19日、新潟国際アニメーション映画祭実⾏委員会は今年の長編コンペティション部門のラインナップを一挙に公開した。世界29か国・地域から応募された49作品の中から、昨年の10本より多い12本が選出された。
 コンペ作品が増えたのは、エントリーが前回の20作品からおよそ2.5倍とかなり増えたためと見られる。前回にも増して多彩なラインナップとなった。

 コンペ作品も11か国からとバリエーションに富んでいる。フランスからカンヌ映画祭でも上映されたアクションサスペスの『マーズ・エクスプレス』、イギリスからは漂流した少年が孤島で旧日本兵と出会う『ケンスケの王国』、カナダからは奇妙な体を持つ主人公の成長を描く『アダムが変わるとき』といった具合だ。
 伝統的なアニメーション大国だけでなく、新興国からの作品も注目だ。タイを代表するアニメスタジオRiFFスタジオが初めて長編に挑戦した『マントラ・ウォーリアー ~8つの月の伝説~』、南米からはブラジルの『深海からの奇妙な⿂』とコロンビアの『アザー・シェイプ』が上映される。
 制作手法も様々だ。『インベンター』はコマ撮りとドローイングのふたつを巧みに使い分ける。『スルタナの夢』は筆で描いたイラストレーションのようなが動き、ドキュメンタリーアニメーションの『オン・ザ・ブリッジ』は油彩のような平面性を敢えて強調する。どれも見どころがたっぷりだ。

 日本からは塚原重義監督の『クラユカバ』と岡⽥麿⾥監督の『アリスとテレスのまぼろし⼯場』が選ばれた。
 『クラユカバ』は、長年インディーズ作家として高い評価を受けてきた塚原監督が初の長編に挑んだ。大正ロマン調のクラシックな味わいのある映像が持ち味だ。国内では今年4月12日公開だが、新潟が日本では一番早い公式上映となる。
 『アリスとテレスのまぼろし⼯場』は岡⽥麿⾥監督の最新作。前作『さよならの朝に約束の花をかざろう』は上海国際映画祭アニメーション最優秀作品賞やシッチェス・カタロニア国際映画祭ファンタスティック・ディスカバリー部門最優秀長編作品賞を受賞したが、本作は新潟が初の国際映画祭になる。

 コンペティション作品は3月15日から20日まで、新潟市内で上映される。カートゥーン・サルーンのノラ・トゥーミー監督、スタジオ地図の齋藤優一郎氏、カナダのマイケル・フクシマ プロデューサーの3人の審査員がグランプリなどの各賞を決定する。映画祭最終日に結果が発表される。
 新潟国際アニメーション映画祭では、今後、レトロスペクティブ部門、世界の潮流部門、招待上映などのプログラムを順次発表する予定だ。

新潟国際アニメーション映画祭
https://niigata-iaff.net/

【長編コンペティション部門オフィシャルさ作品】 

・『深海からの奇妙な⿂』
  監督︓マルセロ・マルオン(ブラジル)

・『コヨーテの4 つの魂』
  監督︓アーロン・ガウダー(ハンガリー)

・『ケンスケの王国』
  監督︓ニール・ボイル、カーク・ヘンドリー(イギリス)

・『クラユカバ』
  監督︓塚原重義(⽇本)

・『アリスとテレスのまぼろし⼯場』
  監督︓岡⽥麿⾥(⽇本)

・『マントラ・ウォーリアー 〜8 つの⽉の伝説〜』
  監督︓ヴィーラパトラ・ジナナビン(タイ)

・『マーズ・エクスプレス』
  監督︓ジェレミー・ペリン(フランス)

・『オン・ザ・ブリッジ』 
  監督︓サム&フレッド・ギヨーム(スイス、フランス)

・『スルタナの夢』
  監督︓イザベル・エルゲラ(スペイン)

・『インベンター』
  監督︓ジム・カポビアンコ、ピエール=リュック・グランジョン(アメリカ)

・『アザー・シェイプ』
  監督︓ディエゴ・フェリペ・グスマン(コロンビア)

・『アダムが変わるとき』
  監督︓ジョエル・ヴォードロイユ(カナダ)

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