大手アニメ会社のアニプレックスが、スマホアプリゲーム事業の主力タイトルである『Fate/Grand Order』のゲーム開発事業を買収する。2021年12月15日、ゲーム開発会社ディライトワークスから同事業を取得することを明らかにした。
まずディライトワークスが『Fate/Grand Order』を中心とした事業分野を分割スピンオフするかたちで新会社を設立する。そのうえでアニプレックスは新会社の全株式を買い取り子会社化する予定だ。会社分割の成立、関係当局の承認と許可が下りた後、2022年春の実施を目指す。
新会社の名称は現在明らかにされておらず、今後発表予定。また新会社の株式取得価額も発表していない。
『Fate/Grand Order』は、ゲーム会社ノーツのTYPE-MOONのブランドで展開される「Fate」シリーズのスマートフォン向けRPGとして開発された。2015年から配信されているが、多くの熱心なファンを持つ大ヒットタイトルである。日本にのみならず、中国をはじめとする海外でも人気が高い。ここ数年間のアニプレックスの経営を支えてきた作品のひとつだ。
「Fate」シリーズはTYPE-MOONが発表したビジュアルノベルをスタートに、マンガ、アニメ、キャラクター商品など多方面の展開をしている。アニプレックスは、『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』『Fate/Zero』『Fate/Apocrypha』『Fate/Grand Order』などのアニメ製作も手がけている。
『Fate/Grand Order』はアニプレックス、ノーツ、ディライトワークスが共同出資する製作委員会が製作する。ディライトワークスはこのなかでゲーム開発・運営を担当していた。今回の買収完了後は、製作委員会の構成会社は、アニプレックス、ノーツ(TYPE-MOON)と新会社の3社となる。アニプレックスがディライトワークスの持分を事実上買い取った。有力タイトルの権利を強化したかたちになる。
またアニプレックスは近年、事業の多角化を積極的に進めている。ゲーム分野でも子会社のゲーム会社Quatro Aでゲームの内製化も進める。今回の事業取得もそのひとつみていいだろう。