TIFFCOM 2023の来場者数3851人、出展団体・企業は349

TIFFCOM 2023

 2023年10月25日から27日までの3日間、東京国際映画祭に合わせて開催された国際コンテンツ見本市TIFFCOMが、期間中の参加者数と出展団体数の速報値をだした。
 総参加者数は国内と海外からを合計して3851人、また出展企業・団体数は349であった。いずれもオンライン開催であった前年を大きく上回った。
 しかし前回のリアル開催であった2019年との比較では、大きく落ち込んでいる。2019年の総来場者数は1万6217人、今回の4倍以上。2019年に較べて減少率は7割以上だ。出展企業・団体数も2019年の405から1割以上減少した。

 大幅な減少は、過去3年間は都内にリアル会場を設けず、オンラインだけでの開催した影響と見ていいだろう。TIFFCOMは2020年から2022年はコロナ禍を理由として、オンラインでのミーティングにより実施された。オンラインではこれまで日本に来なかった企業などとの出会えるメリットもあったが、従来のリアルに訪問してきたビジネスパーソンの足を遠のけてしまったようだ。
 グローバルのビジネスイベントの参加者は、毎年どの映画祭、見本市に出展するのか、訪れるかをある程度決めてスケジュールを組むことが多い。開催がなければスケジュールから外れ、それが何年か続けばスケジュール表に最初から組み込まれなくなる。実際に以前は出展していたが、今回は名前が欠けている企業は多いと感じた。厳しく表現するならば、TIFFCOMは世界の映画・映像業界から忘れられてしまったのである。

 2023年のTIFFCOMは継続的な発展というよりも、むしろゼロからスタートと考えた方がよいだろう。そのうえでTIFFCOMが国際見本市として魅力的かを考えると、かなりポテンシャルはあるはずだ。2019年以前に指摘されていたいくつかの問題点が、今回は大きく改善されているからだ。ひとつは開催時期である。これまでは東京国際映画祭の併催見本市にも関わらず、映画祭と開催時期がずれることが多かったが、今回は開催日程が重なっている。海外の映画関係者にはありがたいはずだ。
 映画祭との連動は、開催場所の面でも改善されていた。今回は2020年に新しく竣工した東京都立産業貿易センター浜松町館を会場にしている。浜松町駅から至近で、映画祭のメイン会場である有楽町・日比谷・丸の内地区からも近い。羽田空港や東京駅・品川駅からも便利がいい。

 2階から5階まで4層に及んだ会場は一見は複雑に見えるが、出展ブースは放送局やアニメ会社、中国企業などの特色に合せてまとめらてうまく整理されていた。また初日にはどのブースも活発なミーティングをする様子がみられ、ミーティングスペースのバイヤーズラウンジも早々と予約で埋まっていた。ビジネスミーティングは活発に感じられた。
 オンライン開催の2020年からスタートしていたTokyo Gap-Financing Marketは、アジアに関連のある作品に限定するが良質な企画が並ぶ。ファイナンスの60%以上を調達済みとの条件が、よい具合にハードルになってセレクションされていた。新たに始まったTokyo Story Marketは映像化権のマーケットだが、小説やマンガが豊富な日本でやる意味のある企画だろう。

 以前より小振りになったTIFFCOMだが、マーケット機能や内容、さらに設備・運営は十分評価されてよいだろう。今後の課題はTIFFCOMをあらためて世界にどう売り込んでいくかである。
 アジア地域には、香港フィルマート、釜山国際映画祭併設のアジアコンテンツ&映画マーケット、シンガポールのAsia TV Forum & Marketなどのライバルがある。しかし香港は政治的な安定性が課題、プチョンは規模面で課題、シンガポールはテレビ番組が中心とマーケットとして必ずしも十分とは言い切れない。
 TTIFFCOMには韓国や中国などアジアの企業からの出展が多い。東京でワンストップにアジアのコンテンツが一望できる状態が築けるなら、TIFFCOMにはここから大きく成長するポテンシャルがあるはずだ。

TIFFCOM 2023 https://tiffcom.jp/

関連記事

アーカイブ

カテゴリー

ピックアップ記事

  1. 第2回新潟国際アニメーション映画祭
     今年3月に初開催されて話題を呼んだ新潟国際アニメーション映画祭が、2024年3月に第2回を迎える。…
  2. 「アニメーションの表現」
     2023年10月23日から11月1日まで開催されている第36回東京国際映画祭は、昨年より上映本数、…
  3. 『いきものさん』© 和田淳・ニューディアー/東映アニメーション
     日本を代表するアニメーション作家として、いま“和田淳”を筆頭に挙げる人は多いだろう。2010年に『…
ページ上部へ戻る