日本のコンテンツ・クリエイティブ産業に投資する株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)の顔が交代する。クールジャパン機構は、2018年6月29日付けで北川直樹氏が代表取締役に就任すると発表した。また専務取締役兼最高責任者(CIO)には加藤有治氏が就任する。
いずれも6月29日開催予定の取締役会にて選任となる。また同社が国も出資する官民ファンドであることから、就任には経済産業省の認可を得る。
クールジャパン機構は、2013年11月に日本の魅力のある商品やサービスの海外需要の開拓支援、促進を目的に設立された。メディア・コンテンツ、食・サービス、ファッション・ライフスタイルなどの分野にフォーカスをして、海外需要開拓に関連する企業やプロジェクトに出資をしてきた。
メディア・コンテンツ関連では、Zeppホールネットワークのアジア各国でのライブホール展開、映像の海外向けローカライズ会社SDIメディアグループへのイマジカ・ロボットグループとの共同出資、Tokyo Otaku Modeへの出資などを行っている。3月9日には、ミャンマーでの日本番組放送事業への出資も発表されている。
同社の代表取締役は設立以来、イッセイミヤケ代表取締役社長などファッション業界で活躍してきた太田伸之氏が務めてきた。約5年振りに代表取締役が交代することになる。
新しく代表取締役になる北川直樹氏は、長年ソニー・ミュージックエンタテイメント(SME)でキャリアを重ねてきた。同社の代表取締役 CEOを務めた後、現在は代表取締役副会長コーポレート・アドバイザーにある。音楽業界の重鎮だが、ソニー・ピクチャーズエンタテイメントに在籍したこともあり、またSMEの子会社アニプレックスはアニメ業界で存在感が大きい。音楽・映画・アニメなどコンテンツ分野を広くカバーする。
専務取締役CIOの加藤氏は、投資銀行でのキャリアが長い。出資案件の選定や支援に大きな力を発揮しそうだ。
ファッション業界出身の太田氏の後任に、エンタテイメントコンテンツ業界の北川氏を決めたことは、クールジャパン機構の投資の方向性の変化も反映しているかもしれない。クールジャパン機構はこれまで投資金額では、ライフスタイル分野の比重が大きかった。今後、コンテンツ分野への投資が拡大するのかが注目される。