2023年10月23日から11月1日まで第36回東京国際映画祭が開催される。昨今、国際的な大型映画祭ではビジネス分野を支える国際見本市の併催が一般的になっているが、東京国際映画祭ではTIFFCOMがこれにあたる。
そのTIFFCOMの独自のマーケット企画として、今年で4回目を迎えるTokyo Gap-Financing Market(TGFM)が注目を浴びている。資金調達を主目的としたビジネスマッチングを実施し、映画完成実現を目指すものだ。
マーケットへ出品条件のひとつに、全体の製作費の目途がついていることがある。さらに企画にアジアの要素も必要だ。半分以上の資金がすでに用意されていることで、質が高い作品が集まる仕組みにしている。過去の参加企画からは、ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映されたエリーズ・ジラール監督、イザベル・ユペール、伊原剛志出演の『Sidonie in Japan』などが実現している。
映画祭とTIFFCOMの開催に向けて、TGFMの今年の参加企画がすでに発表されている。全部で15企画、今回も有力企画が揃った。このうち11本が実写映画、4本が長編アニメーション映画だ。ウー・ミンジン監督やアーティット・アッサラット監督などの新作企画が注目を浴びそうだ。
日本からは4企画が参加。『20世紀少年』などのヒット作でお馴染みの堤幸彦監督の『THE KILLER GOLDFISH』、『孤狼の血』で高い評価を受ける白石和彌監督の作品、松居大悟監督の『MEET THE WORLD』。
日本からの企画は全て実写だが、岡部淳也監督による『ゲッターロボ』は70年代にテレビアニメシリーズが人気を博したマンガの初の実写化企画である。昨今の日本の往年の人気作品のリブートブームもあり注目を集めそうだ。
またカナダのアニメーションスタジオArucana Studio も、実写企画をだしている。カナダ人アーティストであるショーン・オライリーの日本を舞台にしたコミックを原作に映画化を目指している。
アニメーションでは、第1回2020年に出品作品からザグレブグ国際アニメーション映画祭グランプリの『マード 私の太陽』、英国・インド・アイルランドが共同製作する『カンタビルの幽霊』がこれまでに完成している。2023年もユニークな企画が並んだ。
『LITTLE AMÉLIE OR THE CHARACTER OF RAIN』は、フランスのアニメーション学校ゴブラン出身のリーン・ハンチョウが監督を務める2D作品。日本生まれのベルギー人の少女の成長や様子を描く。
『THE VIOLINIST』は2017 年に制作され高い評価を浴びた短編アニメーション『バイオリンの旅』の長編企画だ。シンガポール出身のアーヴィン・ハン監督が第2次世界大戦に翻弄された音楽家をテーマにする。制作会社のRobot Playground Mediaもシンガポールを拠点にしている。
シンガポールが関わる作品はもうひとつある。監督がシンガポール出身のジェロルド・チョンで、同国とギリシア・米国と共同製作する『SHRIEK』である。さらにマレーシアからは『PAPA: GAME ON』が参加する。同国で子ども向けファミリー向けの作品で実績のあるMONSTAがアニメーション制作をする。
TIFFCOM / Tokyo Gap-Financing Market
TIFFCOM 2023 https://tiffcom.jp/
2023年10月25日~10月27日
会場: 東京都立産業貿易センター浜松町館
主催: 経済産業省、総務省、公益財団法人ユニジャパン