東宝、タイの大手アニメーションスタジオIGLOOに32%出資

提携

 東宝が映画・番組販売だけでなく、映像制作でも海外進出を図る。2023年11月7日、東宝はタイ・バンコクに拠点を持つCGアニメーション制作のIGLOO STUDIOと資本業務提携契約を締結したと発表した。
 IGLOO STUDIOが新たに株式を発行し、第三者割当増資で東宝の海外事業子会社TOHO Globalがこれを引き受ける。TOHO Global の IGLOOに対する株式保有比率は 32.0%となる予定だ。
 東宝が海外の映像制作会社とこうした提携を組むのは初。また日本のエンタメ企業がこのようなかたちで海外映像制作会社に出資をするのも珍しい。

 IGLOO は、タイの建築家である Nat Yodwattananoが、2007 年にバンコクに設立した。映像のクオリティが評価を受けて成長し、現在は170 名のスタッフを擁する。タイ有数のCGアニメーションのスタジオである。2018年に公開されたタイオリジナルの長編アニメーション映画『The Legend of Muay Thai: 9 Satra』も制作する。
 日本アニメスタイルも積極的に取り入れた2DタッチのCGも得意とする。直近では2023年11月23日より、『ぼくのデーモン』がNetflixで配信を開始する。本作は日本の作家・安達寛貴(乙一)が原作・脚本を手がけたSFストーリーだ。荒廃した近未来の日本を舞台に、主人公の少年とデーモンと呼ばれる生物が少年の母を助けるために旅に出る。こうしたプロジェクトからも、Iglooと日本のコンテンツとの相性の良さが分かる。

 東宝は今回の出資について、グループの成長戦略の中核である「アニメーション」と「海外」を見据えたものとする。TOHO GlobalとIGLOOのグローバルな協業体制は、アニメ事業部門のTOHO animation の成長のスピードアップにつながるとしている。また新たなアニメーション制作ラインの確保と作品クオリティの向上といったシナジー効果が期待できると積極的だ。

 東宝は映画会社としては国内大手だが、アニメ事業では後発である。アニメの企画・製作出資に本格的に進出したのは、2012年のTOHO animationの設立後である。
 その後、アニメ事業は急成長したが、そうした理由からこれまでアニメーション制作部門は持っていなかった。近年はアニメーションスタジオ・人材の不足から大手アニメ企業はグループ内へスタジオ囲い込みが続くが、東宝の弱みとなっていた。
 2020年にTIA出資、2022年これを完全子会社化したTOHO animation STUDIOが最初の自社スタジオになる。今回は国内で不足するリソースを海外との提携に求めることで、課題を乗り越える。
 タイのCG業界はハリウッドで経験を積んだ豊富な人材によって、近年急激にレベルアップをしている。そのクオリティの高さで、世界から注目を浴びている。東宝はそうした成長性にも目をつけたかたちだ。

IGLOO  https://www.igloocg.com/

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