長編部門は「Flow」がグランプリ オタワ国際アニメーション映画祭

オタワ国際アニメーション映画祭

 世界3大アニメーション映画祭のひとつオタワ国際アニメーション映画祭が、2024年9月25日から29日までの5日間カナダで開催された。映画祭最終日の29日には注目を集めるコンペティション部門の各アワードが発表され、世界各地から集まったアニメーション関係者を沸かせた。
 長編部門のグランプリには、ラトビア出身のギンツ・ジルバロディス監督の最新作『Flow』が輝いた。また長編部門の審査員特別賞はオーストラリアのアダム・エリオット監督によるストップ・モーション作品『メモリー・オブ・ア・スネイル』が選ばれた。
 短編部門のグランプリは『La Voix des Sirènes』。人魚、海、波といった映像がうねるように展開する独創性にあふれるフランスとイタリアの合作で、ジャンルイジ・トッカフォンドが監督する。製作は近年、注目が高いフランスのMiyuプロダクション。日本では8月のひろしまアニメーションシーズンで上映されている。

『Flow』

『Flow』

 長編部門グランプリの『Flow』は、2020年に日本でも公開された『Away』に続くギンツ・ジルバロディス監督作品だ。セリフなしで少年の逃避行を80分弱で描いた『Away』に続き、本作もセリフは一切ない。洪水から逃れる猫を主人公に彼らの冒険を静寂のなかドラマテックに表現する。制作体制が『Away』より大きくなったことで、映像の豊かさも広がった。
 アヌシー国際アニメーション映画祭ではグランプリこそ逃したが、審査員賞、観客賞、音楽賞など4冠に輝きその評価の高さをみせつけた。

『メモリー・オブ・ア・スネイル』

『メモリー・オブ・ア・スネイル』

 そのアヌシーでグランプリにあたるクリスタル賞を受賞した『メモリー・オブ・ア・スネイル』がオタワで審査員特別賞、上位2作品が入れ替わったかたちとなった。
 監督のアダム・エリオットは、ストップ・モーション・アニメーションを代表する存在で、2008年の『メアリー&マックス』で評価を得た。『メモリー・オブ・ア・スネイル』はシニカルでダーク、ビターな物語をユーモアが交えたコマ撮り映像とした。
 オタワはアヌシーより実験的、アバンギャルトな作品を好む傾向があり、ふたつの映画祭の受賞作品はあまり重ならない傾向が強いが、今回は同じ2つの作品が並んでいる。また両作品とも2024年10月28日から開幕する第37回東京国際映画祭のアニメーション部門で上映される。

オタワ国際アニメーション映画祭
https://www.animationfestival.ca/

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