映画会社の東宝は、2023年8月1日付で映画マーケティング・宣伝の株式会社ガイエを完全子会社化することと明らかにした。7月18日に経営会議で決議、19日には株式譲渡契約を結んだ。
現在、ガイエの株式は、ITメディア企業のカカクコムが全て保有している。東宝は全株式をカカクコムから取得する。譲渡価格は非公表。
ガイエは1997年設立の宣伝会社で、映画やテレビ番組を中心にエンタテインメント分野を得意とする。特にオンラインメディアやSNSなどのインターネット分野に強みをみせる。国内外のアニメーション作品のプロモーションも多く手がけてきた。
経営的には、2018年に複数のオンラインメディアを保有するカカクコムの子会社となっていた。映画情報メディア大手の映画コムとのシナジーも期待したものだ。
2023年3月期の売上高は9億4500万円。営業利益は4200万円、当期純利益は3900万円。22年3月期、23年3月期とも最終黒字だが、21年3月期は最終赤字だった。ここ数年はコロナ禍の映画興行縮小などに影響を受け、立ち直りを見せている途中だ。
東宝には現在もグループ宣伝会社として、TOHOマーケティングがある。しかしTOHOマーケティングは伝統的なメディアである新聞や雑誌、テレビなどが得意分野だ。オンラインを中心とするガイエとは補完関係が期待出来る。
東宝はガイエの強みは、映画作品のデジタル・プロモ―ション、オンライン広告やウェブパブリシティ、SNS 運用などとしている。同社をグループとすることで、各事業とのデジタル活用のシナジーを期待する。
東宝は「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」で成長戦略のキーワードのひとつに「デジタル」を挙げている。さらにM&Aを含めた投資を積極的にするともしている。今回のガイエの買収もそうした動きのひとつと見られる。