ネット発の出版社アルファポリス、アニメスタジオWHITE FOXを完全子会社化

WHITE FOX

 インターネット・出版事業のアルファポリスが、中堅アニメスタジオのWHITE FOXを完全子会社化した。2025年7月31日にアルファポリスが、WHITE FOXの全株式を同社代表取締役の岩佐岳氏から取得した。取得価額は守秘義務契約を締結しているため非公表。
 アルファポリスは自社の出版事業から生み出された作品のアニメ化を、IP事業多角的展開の重点戦略と位置付けている。WHITE FOXを連結子会社とすることで、グループ内に映像制作体制を構築、自社作品のクオリエティの高い映像化を目指す。

 アルファポリスは2000年に東京都内で出版事業会社としてスタートした。インターネット上でユーザーが小説やマンガを投稿できる「アルファポリス電網浮遊都市」で大きな成功を収めた。ネットで生まれた人気作品の出版や多角化を手がけている。2025年3月期の通期売上高は136億2000万円、経常利益は32億3600万円だった。
 近年は自社タイトルのアニメ化を軸にメディア展開、グッズ販売、ゲーム事業などへの拡大を目指している。これまでにも『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』、『月が導く異世界道中』など多くの作品をアニメ化した。
 しかしアニメ業界では制作ニーズの高まりにより、制作を手掛けるアニメスタジオの不足が深刻化している。人気スタジオでは数年先まで制作予定があり、新規の制作案件を発注することに困難さが増している。そこで各社はアニメスタジオのグループ化により、この問題を解決しようとしている。アルファポリスのWHITE FOX買収も、そうした効果を期待するものだ。

 WHITE FOXは2007年に東京都杉並区で設立されたアニメスタジオで、作品の映像クオリティの高さに定評がある。『Re:ゼロから始める異世界生活』シリーズや『STEINS;GATE』、『ご注文はうさぎですか?』、『はたらく魔王さま!』 などのヒット作品をいくつも送り出してきた。杉並のWHITE FOXのほか、静岡県に株式会社WHITEFOX伊豆高原スタジオがあり、アニメプロデュース会社EGG FIRMと共にスタジオバインドにも出資する。
 売上高は2023年3月期が8億8000万円、24年3月期が7億5000万円、25年3月期が13億3000万円。経常利益はそれぞれ1500万円、900万円、500万円だった。

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