東宝がキャラクター事業目指す スマホ向けスタンプのクオンと資本業務提携

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 大手映画会社の東宝がキャラクター事業の開発に向けて動いている。2017年7月24日、東宝はスマートフォンアプリ向けにキャラクタースタンプの製作・流通を行う株式会社クオンに出資、さらに業務提携契約を締結した。クオンは国内外のスマートフォン向けの主要アプリに、自社開発のキャラクターのスタンプアプリを提供し急成長している。
 またこれとは別に同じ7月からゴジラをモチーフにしたアパレルブランド「GODZILLADDICT」を、東宝自らがスタートした。大人の男性に向けたTシャツが第一弾となる。ゴジラは東宝の最も重要なIP(知的財産)だが、アパレルブランドになるのは初である。映像だけでなく、キャラクター商品市場への進出に意欲を見せる。

 クオンは2011 年にスマートフォン向けメッセージアプリ事業に参入、2012 年から国内外のメッセージアプリにキャラクターのスタンプを提供している。アプリの種類はLINEやFacebookから中国で人気の微信、韓国でポピュラーなカカオトークほか、広い範囲に及ぶ。
 2017年6月末まで世界でのダウンロードされたスタンプは累計 19 億を超える。クオンの強みは、配信するキャラクターのほとんどが自社開発したものであることだ。スタンプで広がった認知度を武器に2016 年からは、キャラクタービジネスを開始した。商品化のほか、映像化や企業キャンペーン利用などライセンスの範囲は幅広い。
 さらに海外展開にも活発だ。タイ現地法人に加えて、2017 年 7 月には中国法人も設立した。今後はアジア地域のライセンス展開に力をいれる。

 クオンは設立して日の浅く、東宝と比べて企業規模も遥かに小さい。しかし、現在の東宝が持たないものを多く持っていることがある。それはベンチャー企業のスピード感、キャラクター開発、世界市場へのネットワーク、SNS分野での経験だ。
 東宝は中期経営戦略において、「キャラクタービジネス展開」「海外市場開拓」を重点投資領域としていることからもクオンとの提携の狙いは明らかだ。
 今後はクオンとのキャラクターの共同開発や保有、海外展開に向けた共同事業も目指すとしている。そこには映画会社から総合エンタテイメント企業を目指す東宝の方向性が窺える。

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