文化庁アニメーション人材育成事業「あにめのたね」受託制作4団体決定

アニメーター

 2021年度(令和3年度)の文化庁による「アニメーション人材育成調査研究事業」の受託制作団体がこのほど決定、事業を運営する日本動画協会より発表された。応募のあった中から選考のうえ、イマジカデジタルスケープ、スタジオエル、プロダクション・プラスエイチ、レスプリの4つの制作会社(スタジオ)が選ばれた。
 今後4社は応募時に提出した短編アニメ企画を制作、制作を通じて、人材育成と制作技術の継承を目指す。完成した作品と、人材育成の実施プログラムは2022年3月のシンポジウムにて発表する予定だ。

 アニメーション人材育成調査研究事業は、2010年から2019年まで実施された「若手アニメーター等人材育成事業」などを前身に、前年よりスタートしている。以下の3つのプロジェクトで構成されている。
 1)作品制作を通じた技術継承プログラム
 2)就業者を対象とした技術向上教育プログラム
 3)アニメーション業界志願者を対象とした基礎教育プログラム

 アニメ制作を通じた人材育成はこれまでの「アニメミライ」「あにめたまご」の流れを汲むもので、「あにめのたね」の愛称がつけられている。若手アニメーターだけでなく、広い年代の、多様な職種のアニメ制作スタッフを対象とする。
 今回の各社のプランでも育成対象は、動画、原画、3DCGアニメーター、制作進行、演出などにわたっている。また人材育成の成果は個々の制作団体だけでなく、成果報告などを通じて広く共有する。

 今回選ばれた制作会社、作品も多彩だ。イマジカデジタルスケープは昨年に続き2度目になるが、手描きとCGの双方を組み込んだ作品とする。スタジオエルは1960年代から続く老舗で、プリプロからポスプロ、制作進行、演出などの幅広い人材育成を掲げる。
 対象的にプロダクション・プラスエイチは2020年に設立されたばかり、オリジナルアニメ『地球外少年少女』を制作中で注目されているスタジオだ。レスプリは横浜に拠点を持ち、ToonBoomなどのアニメーション制作ソフトの導入で手描き、デジタル作画、CGなどばらばらになっている作画の作業効率化を目指す。

文化庁委託事業 令和3年度 アニメーション人材育成調査研究事業
主催:文化庁
事業受託:一般社団法人日本動画協会

【受託制作団体】
株式会社イマジカデジタルスケープ
作品:『天神(仮)』
監督:福田紀之
プロデューサー:岩澤朋也

有限会社スタジオエル
作品:『ロックンおヨネ(仮)』
監督:鴫野彰
プロデューサー:釋迦郡卓

株式会社プロダクション・プラスエイチ
作品:『宇宙キャンパー・チッチ(仮)』
監督:荒川 眞嗣
プロデューサー:本多 史典

株式会社レスプリ
作品:『キラキラきらり☆(仮)』
監督:月見里智弘
プロデューサー:清水香梨子

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