東映と東映アニメーションが手を組んで、オリジナル映像企画の開発を進めることになった。2023年6月28日、両社は、各50%出資する新会社「株式会社 FLARE CREATORS (フレア クリエイターズ)」を設立した。
資本金は1億5000万円、本社は東京都新宿区の神楽坂に置かれ、9月1日に開業予定だ。世界市場への展開を意識したオリジナル企画映像の開発とプロデュースを目指す。
作品は実写、2Dアニメ、3DCGと映像のかたちを問わず、映画、テレビ、配信、ゲームなど幅広いジャンルへの展開をする。実写を得意としてきた東映と、グループの中でアニメを主に取り扱ってきた東映アニメーションの得意分野を活かし、融合させた企画が期待できそうだ。新会社は作品の企画、マーケティング、制作、宣伝、ビジネス展開までを包括的にプロデュースするとしている。
代表取締役には、東映アニメーションの北﨑広実氏が就任する。同社で企画製作本部長、映像企画部長、製作本部長などを歴任してきた。アニメーション制作だけでなく、作品の企画・展開にも経験が深い。
また取締役エグゼクティブプロデューサーとして松井俊之氏が就任する。プロデューサーとして『BALLAD 名もなき恋のうた』、『花のあと』などで活躍した。現在は東映アニメーションに所属しており、2022年12月に公開し現在もヒットを続ける『THE FIRST SLAMDUNK』のプロデュースもしている。
東映は国内大手映画会社のひとつで、製作・制作・配給・興行などを長年手がけている。一方、東映アニメーションはグループ内でアニメに特化して事業展開してきた。キャラクターを活用したライセンス事業を得意とする。近年は海外事業の成長と共にビジネス拡大が続き、売上げや利益では東映を凌駕する勢いだ。しかしこうしたノウハウは、グループ内で必ずしも共有されていない。
また東映アニメーションにも弱点はある。事業売上げの多くを少数のマンガ原作作品に依存しており、オリジナル企画・開発が急務とされている。FLARE CREATORSではオリジナルコンテンツを軸とし、合せてマンガや小説の原作活用、既存の有名 IP のリブランディングも推進する。
映像表現手段を問わず、また様々なプラットフォームを目指すことで、企画開発の幅や手段も広がるはずだ。企画開発にあたっては、プロットや脚本開発から動画コンテやパイロット版制作などまでを積極的に行う予定だ。開発の早い段階からパートナーへの営業、ブランディングの共有を目指す。老舗の映画会社とアニメ会社による新しいタイプの映像企画会社、業界からも関心を集めそうだ。