東映アニメ、新市場区分に向け「事業法人等」の持株比率引き下げ目指す

ファイナンス決算

 アニメ事業大手の東映アニメーションが、東京証券取引所の市場区分見直しに向けて流通株式比率の引き下げを目指す。現在、安定株主となっている事業法人株主に株主の全部、もしくは一部の売却の働きかけを行う。すでに一部株主からは売却の意向を受けているとしている。売却する事業法人名は明かされていない。

 今回の動きは、東京証券取引所が現在ある5つの取引市場「市場第1部」「市場第2部」「マザーズ」「JASDAQスタンダード」「JASDAQグロース」を「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つに再編するのに合わせたものだ。細かくなり過ぎた市場を整理し、利便性を向上させると同時に株式流動性や企業規模などをもとに上場企業基準の適用を厳しくするものだ。
 「プライム」や「スタンダード」の上場基準はより厳しくなる。ただし上場維持基準未達の企業は、維持基準適合に向けた計画書を提出することで、従来と同等の市場に残ることが可能になる。

 東映アニメーションは現在、JASDAQスタンダード市場に上場している。年間売上高は500億円超、時価総額は2021年に一時1兆円を超えるなどスタンダード市場を代表する企業となっている。しかし「株主数」、「流通株式数」、「流通株式時価総額」は基準を上回るものの、全株式に占める「流通株式比率」が15.5%と基準を大幅に下回る。
 これは東映アニメーションが東映の子会社であることで、東映とそのグループ会社が安定株主として多くの株式を長期にわたり保有しているためだ。2021年9月末の段階で東映グループは東映が33.57%、東映ビデオ3.25%、東映ラボ・テック2.5%他で合計41%の株式を握る。さらに取引先のテレビ朝日ホールディングスが20%、バンダイナムコホールディングスが10.8%、フジ・メディア・ホールディングスが10%などで8割以上が安定株主になる。こうした企業の一部が合計で10%程度を売却することで、市場に株式を放出するとみられる。

 東映アニメーションだけでなく、親会社の東映も同様の対応を迫られている。こちらは現在「第1部」に上場しているが、同等の最上位市場「プライム」に残るには、やはり流通株式比率が足らない。
 ただしこちらは基準の35%に対して現状は34%。市場に放出する株式はより少ない数で十分だ。東映も一部株主に株式売却を働きかけをするとしており、既に一定の見通しが立っているとする。

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