国内だけでなく東アジア各国でも大ヒットを続ける新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』のムーブメントが、米国にも広がり始めた。2016年12月4日、ロサンゼルス映画批評家協会は毎年恒例のアワードを発表。このなかで最優秀アニメーション賞(BEST Animation)に、『君の名は。』を決定した。
日本のアニメが受賞するのは、2002年の宮崎駿監督『千と千尋の神隠し』、2014年の高畑勲監督『かぐや姫の物語』に続く3作品目である。同賞受賞後に『千と千尋の神隠し』は米国アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞、『かぐや姫の物語』はノミネートされているだけに、『君の名は。』にも大きな期待がかかりそうだ。
ロサンゼルス映画批評家協会賞は、ロサンゼルス地域の映画批評家の投票によって選考されるアワードだ。米国には地域ごとの映画批評家協会によるアワードが多数あるが、ロサンゼルスは米国映画の本拠地であるハリウッド地区を抱えることもあり、ニューヨーク映画批評家協会と並び最も重要な映画賞のひとつとなっている。
とりわけ長編アニメーション部門は、1989年にスタートと歴史を持つ。アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、ニューヨーク映画批評家協会が、いずれも2000年代になって初めて部門を設けたのと対照的だ。
受賞作品は2000年代に入り、海外作品を重視するようになっている。ここもアカデミー賞、ゴールデングローブ賞と対称的で、小規模公開でも傑作であれば積極的にピックアップする。2013年は『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』、2014年『かぐや姫の物語』、2015年『アノマリサ』が受賞している。
それでも『君の名は。』の受賞は快挙と言っていいだろう。映画は受賞の発表があった同じ週の週末の単館先行公開、投票以前の上映は7月に開催されたアニメエキスポ 2016でのプレミアイベントの1回のみだ。
先日は、国際アニメーションフィルム協会 ハリウッド支部の主催するアニー賞でも監督賞、最優秀長編アニメーション賞(インディペンデント)のノミネートも発表されている。公開以前から作品の評価が高まっていることがわかる。
またロサンゼルス映画批評家協会はノミネート作品を公表しない代わりに、毎回、次点(Runner up)も発表している。こちらはマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の『レッドタートル ある島の物語』が選ばれた。スタジオジブリ出資、アースティック・プロデユーサーに高畑勲、プロデューサーに鈴木敏夫が参加する作品だ。日本が製作出資する2作品が受賞と次点を占めるサプライズな結果である。
Los Angeles Film Critics Association 42ND ANNUAL
http://www.lafca.net/years/2016.html