北米1兆2200億円、中国9600億円 2019年海外の映画興収

映画

 2019年の映画興行の世界2大市場の実績がほぼ出揃った。興行収入で世界最大は引き続き米国市場だった。12月30日までの国内興行収入の合計は112億2500万ドル(約1兆2200億円)。第2位は中国市場で、12月28日までで635億元。12月末日には640億元(約1兆円)を超える見込みだ。
 世界第3位の市場は、2019年に過去最高を更新すると見られる日本だ。それでも総額は約2600億円に過ぎない。米国は日本の5倍近く、中国は4倍近くになる。両国の映画市場が、世界で突出して巨大なことが分かる。

 米国市場は『アベンジャース:エンドゲーム』が8億5800万ドルで歴代2位の記録を達成、CG版『ライオンキング』、『トイ・ストーリー4』などのヒットはあったものの2018年の11億8800万ドルから5.5%減となった。歴代では2018年、16年に続く第3位となる。
 伸び悩みとも映る米国映画業界だが、一方でNetflixやAmazon プライムビデオなどの映像プラットフォームは堅調だ。米国アカデミー賞でも『アイリッシュマン』などNetflixオリジナル作品が活躍しそうだ。多くのシネコンは若者たちのエンタテイメントの場になり、年長者は家で配信という流れと指摘する声もある。映画文化自体が変わりつつあるのかもしれない。

 一方の中国は2018年の607億元から5%前半台の成長になる。中国市場過去最高記録を更新する。しかし中国の市場も必ずしも明るいわけでない。2010年代の中国映画市場は毎年10%台から30%台の高い伸びを続けてきたから5%台は伸び率で大きく落ち込んだ。
 それでも今年前半には前年割れの声もでていただけに大きく盛り返したかたちだ。7月26日に公開されたCGアニメ『哪吒之魔童降世』が50億元(780億元)と驚異的な大ヒットになったのに助けられた。国内映画では『流浪地球』も46億7000万元、『我和我的祖国』が31億2000万元と健闘した。
 しかし米国映画は『アベンジャース:エンドゲーム』が42億元と大ヒットになったが、2位以下はいずれも15億元に届かず、期待された『アナと雪の女王2』も8億2000万元だった。ハリウッド映画不振も、成長率低下の理由にありそうだ。 

 2015、16年頃には、数年以内に中国映画市場が北米市場を追い抜くと予想されていたが、2019年までにはこれは実現しなかった。中国の映画市場の成長率の鈍化に加えて、ドル高元安によるドル建て比較での中国市場が目減りした影響もある。
 それでも今後も中国市場の成長は続くとみられる。市場規模逆転は20年代のどこかの時点で起きる可能性が高そうだ。

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