米国のコミック業界を代表アワードであるアイズナー賞が、7月24日、オンライン上で開催されている今年のコミコン(コミコン・インターナショナル)で発表された。このうち最優秀ライター/アーティスト賞を日本の伊藤潤二氏が受賞した。2020年にVIZ Mediaより翻訳出版された『地獄星レミナ』と『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』での仕事に対するものである。米国内の有力候補も多い中で日本のマンガ家が受賞するのは、伊藤氏の米国における評価の高さを窺わせる。
伊藤氏はさらに国際賞(アジア)でも最優秀賞を受賞している。同賞は国際賞は世界全体を対象にする(インターナショナル)部門から2010年に分離されたものだ。それまでの国際賞では日本作品ばかりが候補・受賞することから日本マンガを事実上切り離すかたちで設けられた。今年は『地獄星レミナ』のほか、『君の膵臓をたべたい』(桐原いづみ/住野よる)、『ありがとうって言えたなら』(瀧波ユカリ)、『父の暦』(谷口ジロー)、『ピンポン』(松本大洋)、『SPY×FAMILY』(遠藤達哉)が候補に挙がっていた。
伊藤氏は1963年、岐阜生まれ。投稿作『富江』で1986年にデビュー、その後『うずまき』や『ギョ』といった傑作を発表する。日本でも熱心なマンガファンの間で人気の高いが、近年は米国での人気が際立っている。代表作の多くが翻訳出版され、グラフィックノベル部門のベストセラーの常連になっている。2019年にも『フランケンシュタイン』でアイズナー賞最優秀コミカライズ作品賞を受賞している。
CATV局のアダルトスイムにより、日本のプロダクションI.Gのアニメーション制作でテレビアニメ『うずまき』のミニシリーズも制作されている。今後のますますの活躍も期待される。
今年のアイズナー賞では、日本のアーティスト桃桃子氏も最優秀カバーアーティスト賞を受賞している。こちらは日本の作品でなく、桃桃子氏がアメコミ作品のカバーイラストでの活躍を顕彰したものだ。
またアイズナー賞と並んで知られるハーベイ賞も、すでにノミネートが発表されている。こちらもアイズナー賞の国際賞(アジア)踏襲して2017年から主要部門として最優秀マンガ賞を設立している。
候補作品は『あさドラ!』(浦沢直樹)、『ボーイズ・ラン・ザ・ライオット』(学慶人)、『チェンソーマン』(藤本タツキ)、『地獄星レミナ』(伊藤潤二)、『SPY×FAMILY』(遠藤達哉)の5作品だ。
伊藤潤二氏のダブル受賞も期待できる状況だ。こちらは10月にニューヨークで開催されるニューヨークコミコンの授賞式の場で各最優秀賞が決まる。
アイズナー賞 https://www.comic-con.org/awards/eisner-awards-current-info
ハーベイ賞 https://www.harveyawards.com/